簡易局改革の「今」 全国簡易郵便局連合会 山口博文会長

2025.05.25

 全国の簡易局数は3月末時点で4052局。そのうち、一時閉鎖は603局を数え、約15%に上る。受託者の高齢化や成り手不足の中、全国簡易郵便局連合会(山口博文会長)は日本郵便本社・各支社と連携し、課題解決への歩みを着実に進めている。簡易局を取り巻く状況や将来像について山口会長に伺った。

一時閉鎖の解決に向けて真摯に取り組む

 ――一時閉鎖問題の現状や取り組みを教えていただけますか。
 山口会長 簡易局数は全体的に減少傾向が続いており、最重要課題の一つだ。日本郵便のホームページで受託者を募集し、各支社では説明会の開催や、直営局を退職される方にご案内いただくなど、さまざまに募集をかけていただいている。
 都市部近辺など立地の良いところの応募はあるが、過疎地となると、何年も閉鎖したままの局が多い。手数料の問題もあるが、局舎を提供しなくてはいけないということも大きい。地元に住んでいる方や親族がいる方であればよいが、わざわざ転居して新しく局舎を建てて始めるというのは、なかなかハードルが高い。
 局舎を会社で建てて賃貸契約をする形も検討すべきだろう。会社の幹部の皆さんも全国の簡易局を回られて、一時閉鎖の現状についてはよくご理解いただいていると思う。

 ――今後の簡易局の在り方についての展望は。
 山口会長 役場の支所や金融機関等の撤退が進む中、郵便局だけが残っている地域も増えている。過疎地にある簡易局は、非常に存在価値が高い。むしろそういう地域こそ、やりがいがあると思う。
 直営局では、さまざまな市町村と包括連携協定を締結して自治体業務を請け負っており、最近ではオンライン診療も始まっている。簡易局も将来的には、そういう形になっていくのではないだろうか。
 地域の要請に応じて自治体と協定を結び、簡易局に配備される予定のタブレットPCを使って行政相談の窓口等を受託することも考えられると思う。地域住民の皆さんや行政の手助けをすることで、簡易局の価値をさらに高めていける。
 日本社会の今後のためにも、全国約2万4000局の一翼を担う簡易局のネットワークは残していくべきだし、絶対になくしてはいけないものだ。
 それは我々全簡連の役目でもあり、日本郵便の役目でもあると思う。一時閉鎖の解決に向けて真摯に取り組み、再開を加速させていきたい。

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