もう〝待ったなし〟 ニューレジリエンスフォーラム

2023.07.30

 全国郵便局長会の末武晃会長も発起人の一人となり、感染症と自然災害に強い社会の実現に向けて活動を展開している「ニューレジリエンスフォーラム」(共同代表=河田惠昭関西大学特任教授・松尾新吾九州経済連合会名誉会長・横倉義武日本医師会名誉会長)。2月に開催した全国大会で、発起人の一人とで経済界を代表して登壇した日本商工会議所の大久保秀夫特別顧問(㈱フォーバル会長)の講話(抜粋)を紹介する。

大久保秀夫日本商工会議所特別顧問


(㈱フォーマルHPから転載)

 日本を納税と雇用で支える企業、経済界の立場として、最も重要なことは事業の継続だと思う。しかし、自然災害に対するBCP(事業継続計画)においては、今回の新型コロナウイルスのような全世界的な感染症が発生した場合の対策は、ほぼ無防備だった。
 また、大規模災害の発生などの緊急対応については、企業や経済界も事前の準備と対策を構築していたが、これはあくまでも民間レベルの範囲であり、法的な整備を含めて、日本全体で迅速に対応できる体制の構築とルール作りが必要だ。
 企業は人、社員から成り立っている。各自の生活や家族、命を守る環境を整備することも、我々経済界の使命だと考える。経済安全保障制度についても議論を加速しているが、いかに災害を最小限にとどめ、迅速に経済活動を復旧させるかという準備と方法論についても構築が必要だ。そのための啓発活動も展開している。
 南海トラフ巨大地震が発生する確率は、今後20年間で60%程度、首都直下地震は30年以内に70%といわれている。さらには気候温暖化による影響で、日本においても毎年のように豪雨災害が発生し、災害規模も年々甚大化している。私たちが置かれている状況は、もう〝待ったなし〟だ。
 事が起こってからの対応では、災害を最小にすることはできない。平時にこそ、いかにして災害を最小化できるか、いかに早く復旧させるかという体制とルール作りを、一刻も早く構築しなければならない。取り返しのつかない状況になってしまう可能性が高いということを、ぜひご理解、共有していただきたい。
 我々経済界としても、議論と課題の共有、整理を行いながら、最もプライオリティーの高い課題であるという認識のもと、実践活動を行ってまいりたい。