郵便ポストに新たな価値を 郵政政策部会
総務省情報通信審議会郵政政策部会(米山高生部会長)は5月18日、書留以外の全ての郵便物のほか、ゆうパケットポストも投函できる郵便ポストについて、省令に定められる設置基準等の議論を開始した。郵政行政部郵便課の景山忠史課長は「利用者のアクセスを十分に確保する観点を重視した上で、郵便物取集だけでなく地域貢献となる用途があれば、活用含めて住民の方から見てどのくらいの本数があるのが望ましいか」と問題を提起した。
米山部会長「時代に合う集配システムから考え直す発想も」
7回目を迎えた「デジタル社会における郵便局の地域貢献の在り方」の審議では、公社発足時の2002(平成14)年度末に約18万6000本だったポストが21年度末に約17万7000本と約20年間大きな変化はなく、設置基準は地域ごとでなく全国の本数が定められている現状が説明された。景山課長は「ポストには通信回線が整備されていないため、何かに活用する際に、どういうことを確保するのかが課題になると思う」と述べた。
日本郵便郵便・物流業務統括部の古閑圭一部長から「郵便物の需要がないエリアは配達とセットでポスト取集を行っているが、都市部ではポスト取集専門社員を配置。個別の社員はポスト状況を把握しているが、全国の一元的なデータとしては管理していない」などと語った。
東條吉純部会長代理(立教大学教授)は「デジタル時代にポストにセンサーを付ければ、何も入っていない場合は取集をスキップすることもできるのではないか」と指摘。米山部会長は「中長期的な観点から発想の転換が必要。明治以来のシステムを未来永劫受け継ぐのではなく、例えば、ポストの所在がモバイルなどで分かれば利便性は大きく落ちない。今の時代に合うような集配システムから考え直す発想も大事だと思う」と提案した。
地域の〝何でも相談室〟機能を郵便局に
同日の審議では、郵政行政部企画課の松田昇剛課長が昨年10月以降のヒアリング等の主な発言と郵便局に求められる地域貢献のアンケート結果を報告。
石川県加賀市の「郵便局のコンビニ化がこれからは期待される」、米山部会長の「郵便局に対して自治体の期待が非常に大きい。日本郵便が地域課題や要望に対して感度が良く、具体的に対応できる高い能力を持つためだ」、桑津浩太郎委員(野村総研研究理事)の「国などの公的機関や民間企業からのサポートによって、サステナブルな形でやっていくことが大事」などの意見を紹介した。
米山部会長は「郵便局で解決できるものは解決し、そうでないものは解決できる人や組織を紹介し、地域の悩みを受け止める〝何でも相談室〟機能が郵便局に必要だ」と総括した。