窓口弾力化、53局以外は延期

2023.02.20

 日本郵便は過疎化やデジタル化の進展など急速な環境変化の中、郵便局ネットワーク維持を目的に地域ごとのニーズを踏まえた窓口営業時間の弾力化を2021(令和3)年7月から離島を中心に53局で試行してきた。郵便窓口を金融窓口と同様の16時に閉じたり、昼に60分窓口を休止したりすることで閉めた時間帯を営業など有効な業務に充てる目的だった。3月から都心部でも昼休みの試行実施が検討されたが、現場から「お客さまサービスが低下」と反対意見が多くあったため、地域性を重視し、53局以外の全ての局は従来通りにサービス向上を図る決定をした。(写真は鹿児島県西安室局の祷広哲局長)

サービス向上で拠点価値重視

 53局のうち、愛知県羽布局の原田又仁局長は「もともと村だったため、過疎に近い。16時に閉めて以降の外回りは金銭取り扱いができないため、やっていないが、三事業で『このお客さまに営業の話をしてみよう』と見込み客を探して電話をかけたりした。DM等は捨てられてしまう。対話し、営業できるよう掘り起こしを進めてきた。数字を上げられるところまでいかないが、昨年よりは良い。やはり郵便局は本来は営業の会社だ」と話す。
 鹿児島県西安室局の祷広哲局長は「鹿児島と沖縄の中間にある加計呂麻島にスーパーやコンビニエンスストアはない。窓口時間の短縮により、業務負担は軽くなり、局内の業務や大量に流れてくる資料等の文書整理ができるようになった。しかし、お客さまサービス低下で後ろめたい気持ちが正直ある。特段の苦情はないが、『閉まっているよりは開いていた方がよい』とは言われる。郵便が届くのも遅くなり、ATMの小銭の件や手数料でかなりお叱りの声もいただいた。来客数が激減している」と語る。
 一方、都心部の繁忙局からは「9~17時まで途切れなく混雑し、昼休みを休むデメリットが大きい。サービスダウンになることと休憩後の13時以降の混雑を考えると無理」や「昼休みに社員を休ませられないほど忙しい。人手が足りなさ過ぎる」などの意見があった。