日本郵政G2026年3月期中間決算
日本郵政グループは11月11日、2026(令和8)年3月期中間決算を発表した。グループ連結の中間決算は増収増益。経常収益は5兆6824億円(前中間期比3・1%増)。経常利益は5216億円(同12・6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は1425億円(同2・2%増)の増収増益となった。純利益が30億円増となった主な要因は、AflacIncorporatedに係る持分法投資損益の減少や3月のゆうちょ銀行の株式売却に伴う持分比率低下による純利益の減少があった一方で、日本郵便の赤字の大幅な改善やかんぽ生命の増益となった影響によるもの。
日本郵政G 日本郵便の損益改善とかんぽ生命の増益で増益

日本郵政・根岸一行社長
連結通期業績予想3800億円に対する進捗率は37・5%となった。かんぽ生命は通期業績予想を上方修正したが、郵便・物流事業の荷物収益が想定より低調に推移していること等から連結通期業績予想を3200億円に下方修正する。期末配当予想1株25円は変更しない。自己株式は10月末時点で1843億円を取得している。
日本郵政の根岸一行社長は「下方修正はじくじたる思いだ。法人のお客さまにも個人のお客さまにもしっかりとゆうパック等のサービスは今後も提供できるとお伝えする必要がある」と強調した。
日本郵便 ゆうパック・ゆうパケット増を堅持

日本郵政・浅井智範専務執行役
日本郵便(連結)の中間決算は増収増益。営業収益は1兆7754億円(同1340億円増)、営業損益は億円の損失(同583億円改善)。経常損益は85億円の損失(同565億円改善)、中間純損益は92億円の損失(同590億円改善)を計上した。
荷物収益の成長が低調に推移したことや点呼業務不備事案に係る行政処分による収益及び費用面の影響等を見込んで、郵便・物流事業の営業損益の業績見通しを290億円の利益から530億円引き下げ、240億円の損失とする。郵便・物流事業は増収増益。取扱数量はゆうパックが同0・6%増、ゆうパケットが同5・3%増と増加したものの、郵便が同7・1%減、ゆうメールが同1・4%減と減少し、取扱数量は全体で5・4%減少した。
営業収益は郵便料金の改定とトナミグループの連結子会社化等により1766億円増と大幅な増収となった。営業費用も、ベースアップや集配運送委託費等の増加に加え、トナミグループの連結子会社化の影響もあり同1074億円増え、営業損益は255億円の損失(同692億円改善)となった。
郵便局窓口事業は減収減益。営業収益は保険手数料の同140億円減、銀行手数料同34億円減と減少傾向が続き、同22億円減の5061億円となった。「その他収益」は、物販事業が160億円(同1億円減)、提携金融事業が38億円(同4億円減)と微減したが、日本郵政インフォメーションテクノロジー社等のシステム関係子会社収入増加等があり、471億円(同33億円増)を計上。人件費は正社員数の減少等により、同18億円減少したが、タブレット端末導入等により経費が同130億円増となり、営業費用は同112億円増の4979億円となった。
その結果、営業利益は減収に経費増加等が加わり、82億円(同134億円減)となった。国際物流事業は減収減益。営業収益はフォワーディング事業(貿易事務や輸送手配に付随して発生する専門業務)の海上運賃の下落や取扱量の減少により2319億円(同330億円減)。営業損益(EBIT)は42億円(同3億円減)と概ね前中間期と同水準となった。
不動産事業(日本郵便及び日本郵政傘下の不動産事業を営む会社含む)は減収増益。営業収益は、昨年度に竣工したJPタワー大阪のテナントリーシングの推進等により賃貸収益は325億円(同54億円増)となった一方、分譲収益は麻布台ヒルズ森JPタワーの分譲住宅の販売個数の多寡の影響もあって73億円(同103億円減)の減収となり、販売原価等を差し引いた営業利益は113億円(同12億円増)となった。日本郵政の浅井智範専務執行役は「郵便はデジタル化の進展で厳しい環境が継続しているが、ゆうパックとゆうパケットは厳しい環境の中、引き続き増加基調を堅持している」などと説明した。
ゆうちょ銀行 通帳アプリ1507万口座

ゆうちょ銀行・奈倉忍専務執行役
ゆうちょ銀行の2026(令和8)年3月期中間決算は増収増益。連結粗利益は6189億円(前年同期比905億円増)を計上した。資金利益(以下、単体)は、5635億円(同1109億円増)で、外国証券利息が6315億円(同116億円増)、国債利息が1677億円(同523億円増)と、増益に貢献した。
役務取引等利益は833億円(同52億円増)と増加。投資信託・ゆうちょファンドラップの販売件数は586万3千件(同63万5千件増)と増加したが、販売額は2655億円(同281億円減)と減少。残高は投信が2兆9910億円(前期末比2410億円増)、ファンドラップが2563億円(同666億円増)といずれも増加した。
NISA口座数は84万口座(同2万口座増)、通帳アプリ登録口座数は1507万口座(同147万口座増)だった。営業経費は4742億円(前年同期比119億円増)。親会社株主純利益(連結)は2403億円(同175億円増)となった。1株当たり配当金は当初予想(66円)を据え置く。
奈倉忍常務執行役は、「通帳アプリ登録口座数は、利便性をしっかりとお伝えし、さらに拡大していきたい。投信等販売件数の伸びに対して販売額が減少となったが、積立投資を中心にお勧めしていることに加え、投資に慣れていないお客さまにも裾野が拡大していくと、1件当たりの販売額は低めになる傾向がある。こちらもお客さまニーズに丁寧におこたえし、資産形成の支援をして参りたい」と説明した。
かんぽ生命 良好な運用環境により上方修正

かんぽ保険・宮澤仁司専務執行役
かんぽ生命の2026(令和8)年3月期中間決算は減収増益。運用環境の好転等による資産運用利益の増加や事業費の減少などにより、連結当期純利益の業績見通しを1360億円から1590億円に上方修正。中間純利益は、新契約の初年度に係る標準責任準備金負担の減少や、運用環境の好転等による順ざやの増加等により、938億円(前年同期比49・3%増)となり、株主配当の原資である修正利益は950億円(同12・8%増)となった。
個人保険の新契約件数は、一時払終身保険の販売減少などにより24・8万件(同52・3%減)となり、保有契約件数は1821・9万件(前期末比3・1%減)となった。
宮澤仁司専務執行役は「郵便局窓口チャネルについては、来局案内停止の影響もあり保険営業面では厳しい結果となった。新区分の保有において早期反転を目指したい」とした。
新契約価値は、金利上昇による増加はあったものの、新契約の減少により364億円(前年同期比3・6%減)となり、EV(エンベディッド・バリュー)は、国内株価上昇による国内株式の含み益増などにより4兆2551億円(前期末比8・0%増)となった。1株当たりの配当金は124円と変更はなかった。