郵便局は〝子育て応援施設〟 優先レーン、保育所など安心広げる
 今年上半期に生まれた子どもの数は速報値で33万9000人余りと、過去最少の昨年同期比で1万人以上減少した。
少子化に歯止めがかからない理由の一つが、子育ての負担や不安だ。その中、郵便局での子育て支援施策が各地で展開され、安心の想いを広げている。
京都府内全442局は2022(令和4)年6月から「きょうと子育て応援施設」に登録
 局内や郵便車両等へのPRステッカー貼付のほか、京都中央局(遠藤匡哉局長)には妊婦や子ども連れの優先窓口「子育て応援レーン」が設置された。民間企業内の設置は府内初。
 京都市南部地区連絡会の上田浩敬統括局長(京都大原野灰方)は「局内でもお声掛けやサポートを皆で心掛けている。〝子育て環境日本一実現〟を掲げている京都府と連携し、子育て応援の意識をさらに高めていきたい」と意気込みを見せる。
 神奈川県西部地区連絡会(石井浩之統括局長/平塚横内)の大磯局(山田剛局長)敷地内には21年4月から、認可小規模保育施設「もあな・こびとのこや」(写真下)が設置された。旧三井守之助別荘の部材を一部活用し、ステンドグラスが美しい。同局は国道に面して駐車場が広く、大磯駅まで徒歩数分と送迎の便もとても良い。
 山田局長は「敷地内にはコワーキングスペースも設置。通常はあまり関わらないが、朝夕は子どもたちの声で活気がある。お帰りの際には、局での用事も済ませやすい」と利便性を強調する。
 同保育所を運営するNPO法人もあなキッズ自然楽校の関山隆一代表理事は「町のシンボリックな建物であり、コワーキングで仕事をする人が隣接する保育所にお預けできるという関係性は、子ども家庭庁や兵庫県が視察に来られるほど注目をいただいている」と期待を寄せる。
 
 新潟県内の全局とゆうちょ銀行は23年10月から、他の金融機関とともに「新潟県こむすび定期」事業を開始した。県内在住1歳未満の乳児らが対象。口座開設の手続きを行うと、家計負担が大きくなる2年後(入園時)と5年後(入学時)に、満期となる定期貯金5万円ずつ計10万円が県から支給される。
 
 上越地区連絡会(本山司統括局長/浦川原)の金子敏男副統括局長(松代)は「他の金融機関は地域が限られているため、身近な郵便局でぜひ開設いただきたい。新規のお客さまを開拓できる取り組みだと思う」と意欲を示す。
島根県出雲西部地区連絡会(四方田伸也統括局長/出雲大津)の飯南町内局は23年8月から、おむつやミルク等子育て用品を調達から荷造り、配達まで引き受け、町民宅まで配達するロジスティクス事業を実施している。
役場から相談を受けた来島局(安部亮副統括局長)の坂口幸司課長が安部局長に伝え、PTを発足。関係各所と半年以上協議を重ねて実現の運びとなった。
 
 安部副統括局長、谷口忠局長(頓原)は「子どもが減っており、一人一人が大切。各家庭までお届けするので大変喜ばれ、私たちもうれしい」と喜びを見せる。永井正智地公体担当局長(谷)は「以前は役場に段ボールが山積み状態で、対象者がわざわざ取りに行かなければならなかった。負担が減ることで、職員の方も利用者も郵便局も皆がハッピーになる」と強調する。
地公体や団体等と郵便局とのコラボ施策は、じわじわと広がりを見せている。揺りかごから始まる〝ぬくもりのサポート〟は、子育てファミリーの笑顔を増やすに違いない。
