全国初! 包括事務受託にAI活用 日光市×関東支社、清滝局で開始
郵便局の自治体事務受託がAIを活用することで、地域住民の利便性を一気に向上させる新しいステージに突入した。栃木県日光市の清滝局(小倉浩史局長)は8月2日、窓口にタブレット端末を設置し、地域住民と市の職員が〝テレビ電話〟を通じて会話ができる案内業務を全国で初めて開始した。
日光市と関東支社(武部繁樹支社長)の行政事務包括受託の締結によるもので、住民は局内で市の職員と直接やりとりできる。デジタルに弱い高齢者層等の相談窓口としても最適なサービスは、「リアル×デジタル」のモデルケースとして全国に波及しそうだ。
包括受託も「リアル×デジタル」で便利に
郵便局の行政事務包括受託として全国20番目となる清滝局で取り扱うのは29業務で、全国初となる業務が「タブレット端末を活用した案内業務」。すでに20年前から郵便局は自治体の一部事務を受託し、毎年約600の自治体から約3000~5000局が受け付けてきた。
2014(平成26)年から人口が減少に転じ、支所の運営が難しくなった地方公共団体が郵便局に丸ごと事務を委託するニーズが高まった。自治体が1支所を維持するコストは人員1名でも年間400~600万円と想定され、郵便局に委託すればコストを抑えることができる。
小倉局長は「スタートから1週間で、住民票の交付や戸籍謄本の交付のお客さまの他、テレビ電話を通じて市役所の職員に直接相談を希望された方が3人いらした。お客さまは遠方の市役所まで行かなくても、家から近い郵便局で市の職員の顔を見ながら相談できることをとても喜ばれ、すごい時代になったと実感した。地域に喜ばれていることが何よりうれしい」と話す。
オンライン会見で日本郵便地方創生推進部は「対面サービスはまだまだ必要。デジタル郵便局的な概念も進めつつ、来局いただくサービス提供と併せてバランス良く提供したい。マイナカードの関連業務は民間では郵便局しか認められていない。地民の方々のニーズに応えられるような全1741自治体に案内したい」と説明した。