簡易保険の効用 保険料はどうなるの?
2025.01.01
今回紹介する一枚の絵葉書には、簡易保険の掛け金がもたらす社会的な効果が見事に示されている。そもそも保険契約では、保険者に支払った掛け金がどうなっているのかを気にしない契約者が多い。この絵葉書は「保険料はどうなるのか?」と問いかけ、簡保の契約者たちに簡保資金がどのように使われているのかを明らかにし、自分たちが社会の発展にいかに役に立っているのかということを自覚してもらうことを意図したものであろう。
郵政政策部会 米山高生部会長⑤
保険金の支払いは一家に生活の安定をもたらし、契約への加入が勤倹節約の習慣を生む一方で、簡保資金による健康施設によって、契約者の健康長寿をもたらす循環が分かりやすく描かれている。また家を訪問する郵便局員が、家族と郵便局との強いつながりを示しているのも印象的だ。
さらにこの絵葉書の図柄が、国家ではなく、海辺にある町を選んでいることに着目したい。小口の簡易保険に加入する「庶民」にとっては、国家的な事業もさることながら、生活を取り巻くコミュニティーの施設の改善に、より興味があったに違いない。
戦争が進むと簡易保険の宣伝にも戦時色が濃くなっていくが、簡易保険は、元来は庶民のための保険であったという原点をも示していると言うと言い過ぎであろうか。
ところで、簡易保険といえども、契約の面からのみ見れば私契約である。しかしながら、郵便局という公の機関を通して契約する簡易保険には、契約を通して社会に参加し、貢献しているのだという、庶民の社会参加への誇りが重要であった。この絵葉書は、そのことを如実に表すものである。