日本郵便と気象庁が連携協定 防災・減災も地域に貢献
日本郵便と気象庁は8月1日、地域防災支援のための連携協定を締結した。自然災害が多発する昨今、気象庁から災害の専門的な知識を学び、双方の情報を密に連携し、地域住民の防災相談も受けられるような多岐に魅力ある郵便局を創り上げる。平常時も防災・減災の観点から一層地域とのコミュニケーションを深め、災害時に対応できる人材を増やす。〝質〟の高い人的ネットワークを各局起点に全国に張り巡らし、国民の生命と財産を守る貢献を目指す。
千田社長 防災相談にも応じる郵便局に
森長官 防災意識の高い社会の構築を
連携協定は①講習会や研修開催による災害対応に習熟した人材育成等②防災気象情報の刊行物の周知③災害対応の資料の充実④協定目的に資すること――の4本が柱。
日本郵便内の災害対応訓練などに気象庁が企画助言や講師として登壇し、防災・気象情報を活用できる人材育成を支援することや、気象庁の防災チラシやポスター等を郵便局に設置。防災資料を相互に助言し、防災知識の普及に貢献することで地域住民の生命や財産の保護を継続する。日本郵便と気象庁は昨年度、防災ワークショップを13支社向けに2回開催。協定締結はそうした中で日本郵便側から働きかけた。
記者会見で、気象庁の森隆志長官(写真上)は「災害リスクの知識と心構えを共有する防災意識の高い社会の構築が求められている。気象庁も全国の都道府県に気象台を持ち、自治体や公共機関等との双方向の対話を通じたリスクコミュニケーションを推進。協定は安全知識の普及に努め、郵便局と現場レベルでの連携を含め、効果的な取り組みを期待している。日常からさまざま〝顔の見える関係〟の構築が大事で、その点でも日本郵便との関係が重要。郵便局ネットワークは物流システムでもあり、緊急物資の輸送もされている。地震災害の場合、余震が続く。きめ細かな見通しを含めて気象庁が解説することで、郵便局を支援する」などと述べた。
日本郵便の千田哲也社長(写真上)は「どこでどう災害が起きても、そこには郵便局がある。災害は命に関わる。生半可な知識やノウハウで動いては裏目に出る。郵便局ネットワークが防災・減災分野でも地域に貢献できるように知識や対応能力を高める必要があり、そのためのパートナーが気象庁だ。能力が高まれば、社員やお客さまを守れる。1600超の市町村との協定には防災項目もあるが、災害発生時の協力がメイン。今回の連携の最大の目的は、平常時における防災・減災の地域貢献。一人暮らしのご高齢の方がどこに住んでいるかも郵便局は知っている。地域の方々と一緒に避難や救助の在り方も準備したい。平常時の信頼関係ができてこそ、災害時に力を発揮できる」と強調。
「局長の皆さんの多くが防災士の資格を持つが、社員を含めて全員が防災知識を持って地域貢献を実現したい。地域の方の防災相談にも応じられる社員像を目指し、郵便局の魅力や価値を向上させたい。郵便局は三事業の本業だけにとどまらないサービスも重要で、今、進めている。どこもご高齢の方が増えているため、終活相談、オンライン診療等々を含め、多くのサービスを自ら提供できる郵便局になることで、『郵便局をもっと利用しよう』『こんなことも相談しよう』と来客いただける形を目指したい」と語った。