日本郵便 2024(令和6)年3月期決算

2024.07.05

 日本郵便の2024(令和6)年3月期決算は減収減益。営業収益は前期比1277億円減(同3.7%減)の減収となった。営業利益は郵便局窓口事業が不動産事業の伸びにより増益となったが、郵便・物流事業と国際物流事業の減益により、同774億円減(同92.4%減)、経常利益も同774億円減(同97.2%減)、純利益は同548億円減(同88.3%減)の72億円を計上した。

不動産が大きく伸展、ポストイン好調

 郵便・物流事業は減収減益。主力のゆうパックの単体取扱数量は5億5000万個(同1.3%減)とやや減少したものの、小型のゆうパケットで跳ね返した。
 特にポストイン商品の「ゆうパケットポスト」が好調で、ゆうパケットは4億6000万個(同8.6%増)と勢いをもって伸展。このため、ゆうパック(ゆうパケット含む)総体で同3.0%増と増加に転じた。
 ただ、郵便と荷物の取扱数量総計は同5.8%減。年賀はがきの同17.1%減等も影響し、営業収益は同808億円減(同3.9%減)の減収。集配運送委託費増等により営業損益は686億円の赤字を計上した。
 郵便局窓口事業は増収増益。受託手数料が三事業計384億円減(郵便52億円減、銀行239億円減、保険92億円減)と減少が継続し、物販と提携金融はほぼ横ばい。
 その他収益のうち不動産事業が、麻布台ヒルズ森JPタワーの分譲住宅引き渡し開始に加え、既存ビル入居率上昇等で同564億円増(同192.0%増)と伸びが顕著になり、営業収益は同388億円増(同3.6%増)と全体を増収へと押し上げた。
 営業費用は、人件費が同210億円減少したが、不動産販売原価計上等による経費増により同152億円増(同1.5%増)、営業利益は同236億円増(同48.0%増)となった。
 国際物流事業は減収減益。営業収益はフォワーディング事業(貿易事務や輸送手配に付随し、発生する業務)の貨物運賃下落等により、47億1900万豪㌦(同18.9%減)と減収で、営業損益(EBIT)も減益となった。
 能登半島地震の影響は248局で建物被害、120局が窓口を一時休止。5月15日時点でも新潟県1局、石川県35局計36局が休止中だが、業績への影響は限定的と見ている。
 日本郵政の浅井智範専務執行役は「郵便局窓口事業の『その他収益』が大きく増えた要因は不動産。今期(4月以降)から不動産は郵便局窓口事業のくくりでなく、単独セグメントとして管理・運営し、日本郵政不動産の連結を取り込こんで示す」などと説明した。