デジタルアドレスコンソーシアム発足 日本郵便と8者、「住所の未来」創造へ

2026.02.14

日本郵便は1月23日、業界の枠を越えて住所の課題を解決する目的で共創型コンソーシアム「デジタルアドレス・オープンイノベーション」 を発足した。次世代にふさわしい住所のあり方を検討するコ ンソーシアムを立ちあげ、業界ごとの「住所にまつわる課題」を抽出。未来へのビジョンやロードマップを策定し、実証を通じて社会における「デジタルアドレス実用化」を目指していく。

実用化に向けロードマップ策定へ

コンソーシアムの主な活動は具体的な活用事例の共創と実証。郵便・物流、小売、金融、医療、観光等のさまざまな分野の代表的な企業や研究機関、行政・地方公共団体等が連携し、「デジタルアドレス実用化」に向けた実証実験や活用事例創出を共同で行う。業界ごとの「住所にまつわる課題」を抽出し、未来へのビジョンやロードマップを策定。住所情報を正確・最新・一元的に利用できる「デジタルアドレス・エコシステム」を次世代の社会インフラとして確立させ、デジタルアドレス実用化に向け、社会全体への浸透を加速させる。
 
昨年5月26日から日本郵便がサービスを開始したデジタルアドレスは、住所を7桁の英数字に変換できるサービスで、7桁の英数字に紐づける住所を変更することで引っ越しても同じ番号を持ち続けることができる。
 
コンソーシアムの共創パートナーはアパグループ、アフラック、GMOメイクショップ、㈱セールスフォース・ジャパン、Packcity Japan㈱、楽天グループ、東京大学。オブザーバーとして総務省とデジタル庁が参画する。今後もパートナーを広く募集し、活動
を拡大する。
 
共創テーマは〝機能別〟と〝産業別〟の二つの目標を掲げている。「機能別テーマ」は①正しい住所を社会共通に使える②住所以外の情報が連携し、便利になる。「産業別テーマ」は「住所にまつわる課題」を抽出し、未来へのビジョンやロードマップを策定。実証実験を通じ、あらゆる産業で課題を共有し、仕組みを整え、産業をつなぐ。住所にまつわる不便を解消した便利な未来「デジタルアドレス・エコシステム」を目指す。実用化に向けた2026(令和8)年度の重点施策はEC・物流業界、金融・保険業界、宿泊・観光業界だ。
コンソーシアム発足発表会で日本郵便の小池信也社長は「住所の管理、産業をまたぐ場合の住所や表記の揺れ、1丁目2番3号を自動で把握ができない非効率性は課題。デジタルアドレスが企業だけでなく、利用いただく個人のお客さまの利便性を向上させ、社会インフラとなって日本が発展をする基盤になれば良いと思う」と意欲を示した。
 
同社DX戦略部の財前光一郎部長は「住所を書く人、住所情報を利用する人双方に使いやすいものになるあり方を目指す。郵便番号デジタルアドレスAPI提供も開始し、すでにさまざまな業種の企業や地方公共団体に登録いただき、住所が多様な管理を支える情報として利用されている」と語った。
 
【コンソーシアム企業等出席者コメントの一部】
〇アパグループ 元谷一志CEO
自動チェックインキー等の簡易情報登録でデジタルアドレスを応用することで手入力の手間を削減したい。訪日客のニーズに対し、劇的に改善される。
〇アフラック 古出眞敏社長
CSVKは当社の資源と専門性を生かし、社会課題解決と経済価値を創出する共有価値創造の経営戦略。デジタルアドレスイノベーションはCSVKと合致する。
〇GMOメイクショップ㈱ 向畑憲良社長CEO
ネット通販は決済画面に住所を入れる際にデジタルアドレスは非常に便利。デジタルアドレスはユニバーサル。豊かで利便性のある社会にしたい。
〇㈱セールスフォース・ジャパン 田村英則専務執行役員
事業会社のDXが進み、利便性が上がることは我々の法人のお客さまにとってもその先の個人のお客さまとのエンゲージメントがさらに上がる。
〇Packcity Japan㈱ 柳田晃嗣社長CEO
ネットが普及し、コミュニケーションはできるが、物理的なもののやりとりは必ずある。ものの受け渡しをもっと便利に進めていきたい。
〇楽天グループコマース&マーケティングカンパニー 松村亮プレジデント
JP楽天ロジスティックスは物流拠点、配送システム、受け取りサービスで価値向上を進めてきた。デジタルアドレスに今春、楽天市場の導入を決定した。
〇東京大学空間情報科学研究センター 関本義武センター長
ロボット等の活用も進む未来社会のDXに向けてこのコンソーシアムで日本を先導していけると良いと期待している。
 
【記者会見】
ーー最終的にどのような形で使われるのがよいのですか。
関本教授 DXは個別の業界が自助努力しても根本が変わらないと大変。そこから脱却し、一丸となって進めるきっかけになる。
ーー競合他社もデジタルアドレスを活用できるオープンなものですか。
小池社長 郵便番号は物流業界の皆さまにもお使いいただいているが、町名までしか特定できない。デジタルアドレスは何丁目何番何号とお名前まで特定できる。同業他社の方々を排除するものでなく、広くお使いいただくことで社会的な基盤として広がり、その利便性が国の力につながれば良いと思う。共通基盤を一緒に作り上げていきたい思いだ。
ーー収益面で良くなるのはどのような部分ですか。(郵湧新報)
田村セールスフォース・ジャパン専務執行役員 国民の皆さまが手続きの速さで利便性を感じ、企業は手続き工数コスト削減につながり、多くのお客さまを獲得する可能性が高くなる。