日本郵政増田社長 不動産戦略、人事改革に意欲

2022.09.10

 日本郵政の増田寬也社長は8月9日のオンライン記者会見で、「JPビジョン2025」で収益の第4の柱に掲げる「不動産戦略」を強調。JP広島ビルディングの詳細や蔵前計画を説明し、「2025(令和7)年の不動産に係る営業収益900億円を見込む」と意欲を示した。若手社員で構成される「JP未来戦略ラボ」が考案した新「人事改革」も発表。一方、「郵便局の窓口機能を高めることが重要だ。地域の拠点として困り事の解決場所に局窓口を変え、窓口に多くの方々に来てもらえるようにしたい」と方針を示した。

窓口を「困り事解決」の場に

 増田社長は「グループの不動産開発第1号として、東京駅前のJPタワーKITTEを2012(平成24)年5月に竣工して10年目。その後も都心部、地方都市、駅前等に立地する収益性の高い不動産はオフィス、商業施設、住宅などの開発を継続的に行い、18年4月に不動産事業に特化した日本郵政不動産を設立。2021(令和3)年度の不動産事業の営業収益は399億円、営業利益は85億円になった。複数の開発を進め、8月31日には広島JPビルディングを竣工する」と詳細を説明した。

増田社長 最大の宝は「人」だ

 人事改革については「グループの最大の宝は〝人〟。人的資本経営が重要と見て、人材交流の幅を拡大する。管理職と一般社員約3割を対象に、グループ横断の異動を社内公募で来春に向けて実現。意欲と能力を最大限生かす。すでに7月末から平均2週間のグループ横断の社内インターンシップを実施し、相互理解を深めている。一方、退職した元社員による『アルムナイネットワーク』の構築にも着手。元社員と協業コラボレーションや中途採用等を進める。チャレンジと変革の動きを広げたい」と意欲を示した。

営業の〝勘〟取り戻そう!

 記者団の「日本郵政初の社債の資金調達と、グリーンボンドで調達する理由を」との質問に対し、「これまで主に自己資金で事業を行ってきたが、資金調達の手段を多様化し、資本効率を上げたい。2050年カーボンニュートラルを目指し、環境配慮の取り組みを社会に広く周知する」と述べた。
「営業復活後の状況は」には「かんぽ生命役員が手分けし、2回フロントラインミーティングを開催し、現場の声を聞いている。私も地方に行くと必ずかんぽサービス部に足を運び、コンサルタントの皆さんに『営業の勘を取り戻そう』と激励してきた。前に進もうと気持ちを切り替える社員も増えている」と期待を込めた。
 「アルムナイネットワークとは」には「退職された方々のスキルを会社経営に生かす仕掛けを作りたい」と答えた。
 郵湧新報の「①不動産戦略とスマートシティやまちづくりとの関連は②窓口で三事業商品を売れる体制づくりとは」には「他の事業者の方とも連携し、身の丈に合った形で進めたいが、中核都市規模の開発はスマートシティも実現できる。地域に寄与できるよう自治体と内容を練って実現に努めたい」と強調。
 「窓口機能を高めることが重要だ。商品のみならず、資産運用や相続相談も窓口でこなせるようにしたい。投資信託等の説明等は支社も支援し、スキルアップを図る。大手町局で実験中だが、専門家とシステム等々をつないで対応できるようにする。地域の拠点として困り事の解決場所に局窓口を変え、窓口に多くの方々に来てもらえるようにしたい。重要な自治体業務を局窓口で行うことも広がるだろう。過疎地ではタブレットを活用し、社員がお客さまをサポートしながら、自治体とつなぐ局も出ている。重要な任務として広げていきたい」と語った。