「共創の未来へ」 郵便局の「まちの保健室」

2025.07.07

 身近な郵便局で看護職に健康・介護等の悩みを気軽に相談できる「まちの保健室」が北海道、鳥取県、島根県、沖縄県で行政や看護関係者と連携して実施され、じわじわと広がりを見せている。地域の〝健康ステーション〟として期待は大きい。(写真上は鳥取吉方局)

地域の〝健康ステーション〟に期待

 全国初となった中国支社(砂孝治支社長)の鳥取県因幡地区連絡会(山田一孝統括局長/中河原)は2018(平成30)年10月、鳥取県、県看護協会と包括連携協定を結び、鳥取市、岩美町、智頭町、八頭町、若桜町の1市4町で開始。医療機関が少なく、交通不便な過疎地域を中心に延べ44回(4月末時点)実施してきた。伯耆地区連絡会(西田智統括局長/倉吉上井一)でも取り組んでいる。
 鳥取吉方局の西村裕美局長は「午前中2時間で一人15分程度の予約制にしているが、空きがあれば来局された方にお声がけもしている。骨密度や血管年齢、脳年齢などを測定し、機器は年賀寄付金配分事業で看護協会に贈呈したもの。家に閉じこもりがちな独居の方も大変喜ばれ、『郵便局に行けば誰かと話せるのがうれしい』と笑顔になっていただける」と喜びを見せる。
 島根県出雲西部地区連絡会(四方田伸也統括局長/出雲大津)の三刀屋局(板倉孝夫局長)は20年2月から、雲南市、コミュニティナースと連携して実施。出雲大東局(今岡真二局長)は23年6月から開始した。三刀屋局は四つのブースを設置し、市役所から派遣された保健師による健康コーナーや消費者センターによる詐欺被害防止の啓発など、多彩な企画を毎回組んでいる。
 板倉局長は「ほぼ毎月1回、午前中2時間実施しており、多い日は20人ほど参加され、リピーターも多い。地元企業等にも協力いただき、骨密度の測定による啓発活動、食生活改善推進委員による減塩レシピの紹介、腰痛治療専門店には姿勢のチェックなど、マンネリ化せずに楽しめるようにしている。自分たちだけでは思いつかないことも、地域の皆さんからアイデアを出していただいている。郵便局に来られたら、何かためになる情報を持って帰れるようにしたい」と意欲満々だ。
 
 北海道支社(坂東秀紀支社長)は昨年11月から更別村の更別局(写真上、神成哲也局長)と上更別局(同下、山角幸一郎局長)で開始した。月1回ほど午前中に実施し、毎回2局合計15~20人ほどが参加。お茶やコーヒーを飲みながら健康相談や各種測定ができるとあって、楽しみに足を運ぶ方も多い。
 
 神成局長は「開始当初はチラシを全戸配布して周知に努めた。高齢の方だけでなく20~30代の方も参加され、新たな出会いも増えている。毎回工夫を凝らすようにして、4月には認知症予防にもなる『豆つかみ』を行った。外に出られない住民の方も多いので、村役場やコミュニティナースと相談しながら、今後は訪問してお声がけもしていきたい」と意欲を示す。
 各地に広がった「まちの保健室」はスタートから6年半が過ぎ、健康増進に加えて、地域コミュニティーの〝よりどころ〟としてもニーズが高まっている。

沖縄県本部局で行われた骨密度の計測

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