続・続 郵便局ネットワークの将来像㊳
2024(令和6)年度も、総務省の「地域のお困りごと解決に向けた懇談会」の全国展開が始まった。すでに高松市塩江地区、埼玉県川越市(記事は次号)等で行われ、今後も新潟県新潟市西区や三条市で予定されている。実はこの懇談会は〝埋もれたお困りごと〟の発掘と解決に郵便局の〝地域力〟も期待され、企画されたものらしい。「公共交通」や「買い物」「防災」等々、多くの生活課題が浮かび上がるが、ここでもまた「郵便局のオンライン診療」が求められるニーズに出あった。(写真は山口県平郡局)
リアルが一番!何でも拠点に
9月18日に高松市内で行われた「地域のお困りごと解決に向けた懇談会」の終了後、四国行政評価支局の高田賀夫総務行政相談管理官は記者説明会を行い、「塩江の病院が老朽化して利用者が減り、訪問看護ステーションにしたり、診療のみの機能となった。
塩江町の『道の駅 しおのえ』事業と病院整備がセットで計画されていたが、予算高騰があり、当初の2026(令和8)年開業予定がどんどん先送りになった。住民の方は、高松市の南にある『市立みんなの病院』まで行き、入院している。何とかしたいと思われている」と説明した。
また、「郵便局のオンライン診療も一部ですでに始まっているようだが、懇談会で竹内芳明総務事務次官も『活用の余地がないか』と提案されていた。郵便局は市町村業務などさまざまな業務を受けて、高齢者の方などのみまもりも展開されている。郵便局を〝拠点〟にオンライン診療やスマート医療のような形も体制が整えばできるのかもしれない。塩江地区でも何ができるかを塩江局の中山賢治局長や安原局の村井俊之局長も『考えていきたい』と言われていた。地域の拠点として、地域に何か貢献したい強い願望もお持ちなので、いろいろな意見をいただければと思っている」と話した。
竹内事務次官は「かがわDX Lab」視察(写真上)後の記者会見で、「公共交通、バスの減便、地域医療等に安心できる状態にはないことを一つ一つ解決していかなければいけないが、足元では常にさまざまなことが起きて、スムーズにいかない部分もあるようだ。関係各所、各機関とよく話し合って、安心して住めるようにしなければいけないと、懇談会後にお会いした各首長の方々は話されていた」と語った。
さらに「郵便局で全国的にもオンライン診療のお手伝いをするような取り組みは、すでにいくつかの地域で始まっている。選択肢の一つとしてあると申し上げた。やはり地域でデジタル化を進めて効率化していったとしても、最終的にリアルの窓口拠点は必要だ。担い手として誰が支えていくのか。自治体の支所やJAの支所もあるが、統廃合の動きがある中で、郵便局は法律の中でも唯一、ネットワークを維持することになっている。全国的に2万4000の拠点はこれまで以上に公的な役割を果たしていける可能性がある。地域事情に応じて、どのような役割を担えるか、関係者で話していただくことが大事だ。総務省もどういうサポートができるのかをしっかり考えていきたい」と意欲を示した。
先立つ17日に、山口県柳井市の平郡局(棟居正樹局長)で行われた「郵便局等の公的地域基盤連携推進事業」のセレモニー終了後の立ち会い会見で、山口県総合医療センターの原田昌範へき地医療支援センター長は「島には薬剤師さんが関わることがなかった。この事業によって、本土と同じように多くの方々が薬剤師の関わりが増えることも新たな視点と感じる。今、山口県には有人離島が21島ある。各島とも、どんどん人口が減って医療の確保は喫緊の課題。対面診療、24時間365日、そこに医師が常駐し続けることは限界、限度がある。オンライン診療を組み合わせることで、24時間365日、できるだけ医療が確保できないかなと期待される。いろいろな課題が出てくると思うが、郵便局はへき地にも存在しているので、組み合わさることで実証後もその地域に実装されて、医療を確保し続けられることを期待している」と展望した。
原田センター長は「郵便局を活用する意義としては、地域の多くの方を顔もご存じの局長さんや社員さんがいつもいてくれること、お金の支払い等取り扱いができること、お薬を含めてさまざま配達、物流をやっていただけること、全国にネットワークを持っているところが期待されていると思う」と締めくくった。