石破茂新総理が誕生 どこにいても〝命〟永らえ
自民党は9月27日、総裁選の投開票を行い、石破茂元幹事長を新総裁に選出。10月1日召集の臨時国会で首班指名が行われ、石破総理大臣が誕生した。地方創生担当大臣や農林水産大臣、防衛大臣等も歴任した石破総理は今年2月16日に行われた「防災経営者フォーラム」(主催:一般社団法人安全協会/斎藤実理事長)で講演した折、「どこにいても命を永らえ、生活を営む権利を国民は皆等しく持っている。答える義務を持つのは国家だ」と訴えていた。
防災に格差なき国を 石破新総理
<防災経営者フォーラムにおける石破総理の2月時の講演内容の一部を抜粋して紹介>
「東日本大震災・大津波・原発事故」はセットで見ていかなければ本質が分からない。当時、発災直後に現場には行ったが、まだ大混乱の時に政治家が来るとかえって迷惑をかけるため、その時はさっと見ただけだった。
1カ月後に宮城県の原発のある女川町の町長に頼んで避難所に一晩泊めてもらった。これは大変だと思った。プライバシーも何もない。特に女性の方、高齢の方、赤ちゃんのいる方、妊婦さん方がいかに大変か。
イタリアの避難所では48時間以内にキッチンカーが来て、専門のシェフによるイタリア料理のフルコースが出るそうだ。家は壊れた、家族も亡くなった、仕事もどうなるか分からない等々、絶望の淵にある心が折れそうになる人が、少しでも生きる希望を持つことができるとするなら、おいしく温かい食事なのだろう。そういう人たちにこそ、一番良い食事を提供しなければいけないとする発想は日本との大きな差を感じる。
地方創生大臣時に、FEMA(米国連邦緊急事態管理庁)に行き、長官やスタッフと2時間ほどさまざま議論した。FEMAの役割とは何かを聞いたところ、全米50州どの州でも、どの郡でも、どこの町でも、同じ「防災体制をつくるための教育」を徹底することだと言われていた。
日本全国47都道府県1718市町村、防災体制はものすごく差がないだろうか。東京のように財政力の豊かなところはさまざまな対応も可能だが、石川県珠洲市や輪島市などの過疎で人口減少が著しく、高齢化が非常に進み、財政力の乏しい地域が巨大災害に遭うと、誰がどうしてくれるのか。
どこでどのようなことがあろうとも、命を永らえる。健康で文化的な、プライバシーと人権が確保された生活を営む権利は、国民は等しく持っているはずだ。それに応えるのは国家の義務。日本もそういう体制をつくり、被災した方々の負担をできるだけ軽くしなければならない。