〝生〟がいいね!「おたがいマーケット」

2024.04.28

 「生鮮食品を食べられるのが、うれしい」――。市街地から車で20~30分、奈良市東部地域で「おたがいマーケット」が始まった3月27日、移住してきた20代男性は満足げにほほ笑んだ。

共創イニシアティブ
共助で成り立つ買い物サービス


ぽすちょこ便から注文商品を置き配する

 「おたがいマーケット」は日本郵政グループ「ローカル共創イニシアティブ」第1号として、昨年実証事業が始まった「共助型買い物サービス」の事業化を実現。日々運行する郵便集配車両の赤車の余積や、既存配達動線を活用する「ぽすちょこ便」の仕組みと、複数の注文をまとめて配達することで、戸別配送より輸送コストを大幅に抑え、持続可能なビジネスとして成り立たせた。
 生鮮や冷凍食品もイオン独自の梱包材で3万品目から選び、ネット注文できる。買い物難民の課題解消と同時に、郵便局を含む商品受け取り先の〝拠点〟を地域コミュニティーの場として人との触れ合いを創出している。

ぽすちょこ便活用で断然〝お得〟


コミュニケーションの場となるワーケーションルームは木で造られ、ぬくもりある空間

 奈良市の人口約35万人のうち、1万人が面積の6割を占める中山間地住まい。「おたがいマーケット」とは、①日本郵便が配送②ネットスーパーが商品提供③住民の方は受け取りに行く――3者が助け合うことで、人口の少ない地域でも買い物サービスを維持させる。
 受け取り拠点は「月ヶ瀬ワーケーションルームONOONO」と須川局(安部伸也局長)の2カ所からスタート。
 奈良市東部地域へ向かう赤車は1日3便運行するが、朝は荷物の積載量が多く、昼と夜は時間指定配達に限られるため、余積が生まれる。これをぽすちょこ便として、前日16時までにネット注文された商品を須川局に13時前後、月ヶ瀬ワーケーションルームには16時前後に置き配する。
 商品注文はネットのみ。定額月1650円(税込み、2カ月間無料)がかかるが、個別の配送料はかからないため、総体的に見て断然〝お得〟。
 実証段階では会費を無料で提供したが、事業化に伴い、会費制を開始。これまでネットスーパーを使っていなかった層にもサービスを広げることができるかどうかが、ビジネスモデルが持続可能となるかの鍵を握る。
 買い物に訪れた70代女性は「注文はお店や郵便局の人に教えてもらいながらやってもらっているから楽よ」とほほ笑んだ。
 20代男性は「コンビニまで車で10分、スーパーまで20分。毎日行けない中、ネットで注文できるのはありがたく、ヘビーユーザーになりそう。『何買ったの?』と話せるのも気分転換」と話した。

共創するイオンリテールの皆さま

 今回ネットスーパーを提供するイオンリテール近畿カンパニーの植田卓也デジタル・営業推進部長は「日本郵政グループとイオングループは包括的業務提携を結び、物流や出店等で連携してきた。地域課題を一緒に解決したい」と意欲を示した。
 同社の海老隆司氏は「互いのインフラを生かす連携を持続可能なものにしたい。都市部も山間地もコミュニティーの場がなければ〝絆〟は生まれない。地域の方々に郵便局は頼りにされている」と強調した。

 月ヶ瀬局の今井吉則局長(写真上)は「ワーケーションルームは小学校給食センターが造り替えられて活用が始まった。こうしたサービスにより、郵便局と共にコミュニケーションの場にさらになるといい」と語った。

 日本郵政事業共創部の光保謙治氏(写真上)は「人口減少や少子高齢化が進む地域の共通課題は各種サービスの撤退を食い止め、維持・発展させること。助け合うことでサービスを維持する共助の形が事業化できた」と喜びを見せた。