インタビュー セゾン投信 中野晴啓会長CEO
創業から生活者の経済的自立を促すビジネスモデルを貫くセゾン投信が、直販の強みを生かすために※日本初の新サービスに乗りだす。政府の規制緩和により、第二種金融商品取引業者(以下「二種金商業者」)の運用会社も金融商品仲介業者(以下「仲介業者」)および金融サービス仲介業者(以下「金サ業者」)との取り組みが可能になったためだ。これにより同社は多様な企業とタッグを組み、金サ業者等を経由して商品やサービスを提供できる。セゾン投信の中野晴啓会長CEOは「直販でセゾン号の乗客を増やし、〝長期・積立・分散〟の裾野をさらに広げていきたい」と話す。同社の直販に対する熱い思いと金融仲介業はどう関連するのだろうか。
金融仲介、多様な入り口と長期積立
――そもそも「金融商品仲介業や金融サービス仲介業」とはどのようなものですか。
中野会長 セゾン投信は二種金商業者に分類される。運用業界においては製造業者であり、かつ金融商品を販売する機能も持っている。
自ら作った投資信託を銀行や証券会社等に販売を委託するビジネスとともに、セゾン投信は自社運用する投信に限って直接販売(直販)が認められる特例の仕組みを活用してきた。直販はお客さまの年収や積み立て状況等も分かり、支える実感も湧く。セゾン投信のお客さまの6割が40代以下なのも直販へのこだわりに魅力を感じるのだと思う。
これまで二種金商業者は直販もしくは販売会社への募集の取り扱い等の委託しかできず、金融庁に「仲介業者への委託はできない」と言われてきた。
ところがこのたび、二種金商業者も金サ業者への業務委託に加え、金商法に基づく仲介業契約も結べることになった。これらを受け、日本で初めて金サ業者等との協業を発表した。これにより例えば、金融機関だけでなくネット事業者やデパートとも契約し、セゾン投信の商品案内や口座開設を仲介していただけることになる。口座はセゾン投信での直接開設となり、直販と同じ意味を持つ。
すでに対話する候補はいくつかある。非金融業者で長期資産形成の付加価値は作りたいが、証券会社を作るまでの思いはないフィンテック業者と契約の予定もある。地域金融や漁協等の中にも金融免許を持っていても投信を販売してこなかった企業や団体は意外に多く、さまざまな可能性を考えている。
昨年末、与党税制改正大綱で、NISA制度の無期限恒久化が打ち出され、つみたて投資枠が120万円に、成長投資枠と合わせて年間投資枠は360万円と発表された。生涯の非課税保有限度額(総枠)も1800万円と、年金2000万円問題どころか枠だけで約2000万円だ。
これまでとは異なる驚くべき金額。人生100年時代の財産づくりの非課税枠として政府は国民にチャンスを与えてくれた。直販でセゾン号の乗客を増やし、「長期・積立・分散」の裾野をさらに広げていきたい。(※セゾン投信調べ、2022年11月15日時点)