新春インタビュー 全国郵便局長会 清水浩之理事
地域により、さまざまニーズが異なる中で、郵便局ネットワークはどうすればもっと役に立てるのだろうか。全国郵便局長会(末武晃会長/萩越ケ浜)の清水浩之理事(北海道地方会会長/江部乙)に伺った。
自治体ニーズに即応できる郵便局に
――郵便局のマイナンバーカード交付も可能性が出てきましたね。自治体との包括連携の課題は。北海道・日本郵政グループ・楽天グループの3者包括連携の状況も教えてください。
清水理事 郵便局で行うマイナカード申請は、携帯電話ショップが所在しない自治体で実施可能だが、道内郡部ではそういった自治体も多いのでお役に立っていきたい。北海道は、とても広いので役場に行くのも大変だ。近所の郵便局でカードが受け取れれば、住民の方々の利便性は断然高まる。
自治体との連携について、既に北海道は数年前に全179市町村と包括連携協定を締結済みだが、自治体が求める内容は多岐にわたっており、郵便局が提供できない場合も多い。もっと柔軟に対応できるように方針変更をすれば、連携はさらに深まると思う。
郵便局と北海道、楽天との3者協定に基づく「シニア向けスマホ基礎講座」は昨年5月、釧路中央局と帯広局で開催され、多くのお客さまから「とても分かりやすくて良かった」と好評だったようだ。道内は過疎地が多く、ご高齢の方も多いため、こういったニーズが高い。
3者協定による取り組みとしては、タブレットを活用した「外国人向けオンライン行政相談」も北見局、稚内局、根室平内局、白老局で昨年5月~6月に実施された。皆が力を合わせ工夫していけば、もっと可能性が広がる。
――「終活紹介サービス」も北海道は東京に続き、先導されています。
清水理事 終活紹介サービスをもっと盛り上げようと、北海道支社(及川裕之支社長)と新たな取り組みを検討中だ。過疎地では司法書士などの士業の先生が不在のところも多く、相談も有料になるため、そういった不便を解消しようと知恵を絞っているところだ。
終活紹介サービスは窓口受付だが、2局で局長による電話相談受付と支社への取り次ぎを行ってきたところ、好評なため4局に増やした。お客さまにとって身近な存在の局長は相談もしやすいようだ。さらに拡大していきたい。今後は、全国展開を進めるべきだ。横の連携を進めつつ地域性に合ったアイデアを生かしていけば、メニューも充実できると思う。
――北海道の美味の全国展開のためには。
清水理事 北海道に限らず、局長は皆、地域の産品で地域おこしをしたいと考えている。全国には、銘菓、名産品がいっぱいある。しかし、「ふるさと小包」を申し込む際、記入に苦労されている方が多いので、デジタルを活用して日本中の美味を取り寄せたり、スマートフォン等の操作が得意でない方は郵便局で社員に教えてもらったりしながらタブレットで申し込みができたらありがたい。
――「高校生のための金融リテラシー講座」では講師を地元局長が務められました。人材育成等への思いを。
清水理事 道立高校約40校を対象に、地元の局長が家計管理や資産形成等の出前授業を行った。生徒の皆さんはとても真剣に聞いてくれ、やりがいを感じたと聞いている。お金の管理を教えることは局長自身の学びにもなる。
郵便局は〝人〟で成り立っている。人材育成は郵便局の全業務に関わる問題だ。バブル期に多数採用され、今第一線で活躍している社員も10年後には退職期を迎える。
デジタル化が進んでも採用されたばかりの社員では全システムを使いこなせないし、郵政事業の素晴らしさも理解できない。人材育成は時間がかかるが、極めて重要な取り組みだ。そういった認識のもと、全特も力を注いでいる。私も担当理事として懸命に取り組んでいきたい。