インタビュー 野田聖子衆議院議員

2022.07.17

 急速なスピードで人口減少が進む中、孤独や孤立という社会問題が一層、浮彫になっている。野田聖子衆議院議員は「ウェブは時空や居場所を超えてつながることができるが、危険も伴い、またウェブにつながることもできない人が身近で救いの場を求めていることに気付かない。行政だけでは担いきれない」と強調。「性別や年齢を問わず、郵便局を人とつながれる場に、若者も立ち寄りたくなるフレンドリーな拠点、生活を快適にする全ての入り口になっていただきたい」と語る。

全ての生活の入り口に郵便局を

 ――新参議院議員の長谷川英晴氏に期待されることは。
 野田議員 長谷川さんは以前から地方創生という大仕事を一緒に進めてきた戦友。一人の郵便局長として、国の課題を仲間たちと長年考え、行動してきてくれた人物だ。今後は温めてきた構想を形にし、一人でも多くの方をハッピーにしてもらいたい。世界で最も早く少子高齢化が進み、人口減少という岐路に立つ日本社会を明るくするために、まい進していただきたい。
 津々浦々に郵便局ネットワークがあることは日本にとって最大の武器で、力でもある。国営の時は違和感なく、その力を最大限に活用できていたのだから、やり方次第でもっと活用できるはず。方向性を間違えてどんどん人が離れてしまうようでは宝の持ち腐れになる。過疎が進んでも送金や荷物、手紙を送ることはもとより、郵便局を生活全ての入り口にしていけば国民も郵便局も共存できるはずだ。

脱孤独・孤立!人とつながる拠点に

 長谷川さんは「もう一度、その原点に立ち戻るべき」と言われている。人口減少に伴い深刻化する「孤独・孤立」を解消するために人とつながれる居場所になってほしいというのは私も同じ思いだ。
 昔に比べると離婚も増え、シングルマザーやシングルファザーも多くなった。多様な世代がそれぞれ複雑な思いを抱えながら生きている。若者が何かに迷ったとき、答えまで出せなくてもよいから、郵便局が落ち着ける、人とつながれる場であってほしいと思う。

 ――若者が暮らしやすいまちづくりに向けて郵便局はどうあるべきですか。
 野田議員 厳しい環境にさらされてきた郵便局だが、幸い、ユニバーサルサービスを提供するために法律上、市町村ごとの設置規定があり、どこに行っても皆に平等な拠点として存在する。
 民営化以降、利益を上げることにひたむきに走りながら、民間の立ち位置を保ってきたが、住民の方々からは今も公的に近い場所だととらえられている。利益を出す仕事だけでなく、地域の支えとなる拠点の役目を果たしていただきたい。局長の皆さんとは、そういう方向を目指してほしいと意見交換している。
 これからの若い世代が心身共に楽しく生きることができなければ、日本も終わり。道徳的な場でなく、若者も立ち寄りたくなるフレンドリーな拠点、生活を快適にする場として存在していけば、社会のさまざまな解決の〝よりどころ〟になっていける。また、そのことをアピールできれば日本の魅力として発信することもできる。

 ――人口減少や少子高齢化が著しい地域で政府は〝小さな拠点〟づくりを進めていますが、若者含めて幅広い世代に参加してもらうために、今の社会で足りないものは何ですか。
 野田議員 人口減少や少子高齢化はもはや有事。孤独や孤立がますます社会問題として顕在化し、性別や年齢問わず、孤立する人の居場所づくりが大切になっている。ウェブは時空や居場所を超えてつながることができるが、危険も伴い、また、ウェブにつながることもできない人が身近で救いの場を求めていることに気付かない。行政だけでは到底担いきれない。
 例えば、家庭内暴力を受けている子どもや女性含め自分の家で孤立する人が安心できる場所が必要だ。今苦しんでいる場所とは別の場所で手を差し伸べてくれる場があれば、苦しみを乗り越える力になる。行政でないNPOをはじめとする民間団体も対策に取り組んでいただいているが、圧倒的に数が足りない。来春創設が決まった「こども家庭庁」も子どもの居場所づくりが大きな仕事になる。

 ――女性活躍はどのような政策を深堀りされたいですか。
 野田議員 昨年3月の世界経済フォーラム(WEF)が公表した「ジェンダー・ギャップ指数」で156カ国中、日本は120位だった(7月13日の公表では146カ国中116位)。
 男女共同参画が諸外国に比べて遅れている。人生100年時代を迎え、女性の人生と家族の多様化は昭和の想定が通用しなくなった。先般、策定した「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022(女性版骨太方針)」での鍵は「女性の経済的自立」とし、「新しい資本主義」の中核に位置付けた。
 まずは男女の「賃金格差をなくすべき」とし、7月から301人以上を常時雇用する企業に賃金格差の公表を義務付け、その企業が社会的な眼を持つか否かの判断基準を見える化する。男女格差をなくし、質の良い企業が生き残れる社会をつくることは日本を良くする第一歩だ。