グループ挙げて「進化するぬくもり。」を
かんぽ生命の新しい営業体制開始を目前に控えた3月30日の記者会見で、日本郵政の増田寬也社長は「進化するぬくもり。」をキャッチコピーとするグループ統一新コミュニケーションを発表した。〝身近〟〝何でも相談できる〟〝やさしい〟など郵便局らしさの原点にグループ全体が立ち返り、郵便局を核に時代に合わせて歩みだす。増田社長は「窓口の役割はますます重要。全ての局長が窓口社員によく目配りし、課題解決に動いてもらえると郵便局の『地域における拠点機能』はさらに高まる。そこを目指し、努めていただきたい」と思いを語った。
郵便局の〝拠点機能〟高めたい
「進化するぬくもり。」のロゴデザインは、日本中を笑顔にする意味を各事業のコーポレートブランドカラーで表現。手に何かをのせるような柔らかい弧を描いたグラデーションは、日本中の郵便局にグループ全体がつながる姿が込められている。増田社長は「新コミュニケーションは中期経営計画『JPビジョン2025』に掲げた『お客さまと地域を支える共創プラットフォーム』実現に向け、グループ共通の資産でお客さまとの一番の接点である郵便局を核とする」と強調した。同日は楽天グループと物販の協業開始も発表された。
楽天市場でカタログ販売開始
増田社長は「楽天グループと物販で二つの協業をスタート。近畿支社(小方憲治支社長)管内の2府4県の郵便局で4月1日~6月30日まで楽天市場のファッションや日用品、インテリア、美容関連など女性向け約50商品をカタログ販売する。ネット等をあまり利用されないお客さまにも楽天市場を拡大できる。
近畿からスタート! 北海道も
6月から北海道支社(及川裕之支社長)管内でも同50商品のほか、アウトドアや車用品などを加えたカタログ販売も展開する。3月から郵便局物販サービス(荒若仁社長)の青果や果物、加工品など産直品中心に約300品を楽天市場で出品。ネットのお客さまに同社商品を知っていただく好機になる。各地名産品中心に800品目まで拡大する」と意欲を示した。
郵便局物販サービス、名産品中心に
一方、「第三者で構成する『グループコンダクト向上委員会』を立ち上げ、お客さま本位の業務運営を阻止する事象の予防、探知などグループ内連携体制等を審議いただく。2022(令和4)年度は『グループ行動憲章』の実践と中計実現に向けて社員の『JP行動宣言』を策定するが、プロセスや浸透策の展開の助言を賜る」と説明した。(以下、記者団の質問)
――日本郵便と佐川急便の協業スピードを早められないですか。
増田社長 全体的に問題なく進んでいる。JP楽天ロジスティクス(諫山親社長)も立ち上げから細部調整に何カ月かかかり、今、軌道に乗ってきた。
――日本郵政グループと楽天、北海道との包括連携協定による遠距離配送のコスト高解決を他自治体や他企業とも連携する考えは。
増田社長 過疎化が進む北海道は広大で合併が難しい自治体が多い。ドローン等デジタルの力も駆使するが、ラストワンマイルが重要。北海道は条件が整っで先行するが、他の自治体にも働きかけたい。利便性と効率性による低コスト化の経験値を積み、他地域でも展開したい」と思いを明かした。
――支社体制の強化は。
増田社長 全国13支社長の下、支社長の業務を補佐する「地方本部長」を県ごとに全国59名を4月1日、新たに発令した。支社長は県をまたいで仕事をするため、地方本部長がきめ細かく県内のエリマネ局を回り、人材が各地域でどう頑張っているかを把握する。
――〝進化するぬくもり〟テーマに相続等の相談サービスを全グループで連携し、局窓口から提供する考えは。(郵湧新報)
増田社長 郵便局がグループの最たる〝拠点〟。新コミュニケーションは社会にも、社員にも〝ぬくもり〟が郵便局の基本と伝える意味もある。相続や高齢の方々が要するサービスの問い合わせが寄せられるが、かんぽサービスと重なる部分もある。ご要望を商品化し、ゆうちょも一緒にグループ一体のサービス提供によって郵便局の「拠点化」を図りたい。株式は売却するが、郵便局に軸足を置いたサービスを金融2社も生かす営業を展開する。
――局窓口の営業力を高めるために、局長や社員の方々に期待される行動とは。(郵湧新報)
増田社長 窓口の役割はますます重要。かんぽの営業体制を切り替えることで投資信託などは窓口で取り扱う。支社や本社もサポートし、万全の体制を取り組む。今後、窓口で増えるのが行政サービス的な仕事だ。自治体からも、地銀等からも問い合わせがどんどん来ている。iPadで局窓口がお客さまを自治体職員につなげることは「もっと広げられる」との意見も多い。
単マネ局も昨年4月から局長が管轄し、随分窓口に声掛けするようになったが、エリマネ局含め全ての局長が窓口社員によく目配りし、課題解決に動いてもらえると郵便局の「地域における拠点機能」はもっと高まる。そこを目指し、努めていただきたい。