買い物サービスを追う㊦ 日本郵便、買い物難民支援へ

2022.03.31

 無人で遠隔操作で荷物を運ぶ自動配送ロボットや、10~15分程度で日用品を届ける電子商取引(EC)の新しい配送サービス「クイックコマース」など、配送サービスが日々進化する中、日本郵便も、買い物難民のための新たな配送サービスの実現に向けて流通事業者との連携を模索していることが明らかになった。

コンビニの荷物配送に意欲

 日本郵便幹部は「郵便物を配達した後に空気を運ぶのはもったいない。運んだ後にコンビニエンスストアやスーパーの商品を顧客に届けると効率的な配送ができるのでは」と指摘した上で、具体的な事業者名は明かさなかったが、いくつかの流通事業者との提携に向けた検討を行っていることを明かした。
 スーパーやコンビニ各社は、ヤフーなどのEC事業者がコンビニでも販売しているような日用品を10分程度で顧客に届けるクイックコマースに注力し始めたことに対して危機感を覚えており、今後、配送サービスの迅速化を推進する可能性が高い。
 その場合に、全国津々浦々にネットワークがある郵便局の配達員は商品を配達する担い手として適しているというわけだ。特に地方の過疎地の買い物難民支援は郵便局員による配達のニーズは高そうだ。
 一方で、都市部では、低賃金でウーバーイーツなどの料理宅配に従事しているギグワーカーと呼ばれる配達スタッフを雇う方が、コンビニにとっては低コストで迅速な配達サービスを提供できるため、郵便局との連携に消極的となることも予想される。
 今後、日本郵便はギグワーカーよりも安定した配送サービスができることなどをアピールし、コンビニとの間で配送料をめぐる調整を進めるとみられる。
 ただ、こうした新たな配送サービスは、郵便局の配達員の業務量の増加につながるのは確実。組合との調整が難航することも予想され、実現には時間がかかるものと思われる。(フリー記者・出野直令)