「雑談力」を磨こう! 横浜東部 金融連携

2022.02.12

 投資信託紹介局と取扱局双方で盛り上げる施策を進め、3年ほど前に投信販売において全国屈指の実績を誇った横浜市東部地区連絡会(串田明彦統括局長/横浜池辺)が、新しい営業体制に向けて「金融連携」の取り組みを強化している。

投信ハイスクール サイコロトーク

 営業停止期間と再開以降も貯金と保険の副統括局長が連携し、全担当社員を巻き込みながら取り組んできたもので、〝肝〟は串田統括局長が常々皆に呼び掛ける「雑談力」。雑談を身に付ける「サイコロトーク」や、運用会社に講師を依頼する「投信ハイスクール」などで社員のやる気と楽しさを引き出した。

 成果はすでに表れ、保険の新規契約もじわじわと出ている。今後は郵便局としても〝国民の資産形成〟に役立とうと、「積立」をキーワードに投資信託に力を入れる方針だ。
 横浜市東部地区は2019(令和元)年10月、「金融連携」の取り組みをスタート。郵便局の金融窓口を「お客さまとの大切な接点」ととらえ、貯金と保険の担当と金融関係が定期的に打ち合わせ、「ゆうちょ・かんぽ」一体となった実効性のある施策を企画検討し、実施してきた。
 活動プロセス管理を通し、管理者の各種活動目標や指標に対する課題意識の醸成と社員の活動状況を丁寧に把握し、新たなマネジメント体制の確立を目指した。
 自粛期間も経る中で、顧客への〝お声掛け〟にちゅうちょする社員の空気を一新しようと、朝礼でサイコロを転がし、「生活」の目が出た際には、自分の生活のことから話をするという「サイコロトーク」も積み重ねた。
 「投信ハイスクール」とは「投資信託、勉強したい人、手挙げて」と貯金担当副統括局長が呼び掛け、さまざまな運用会社に講師になってもらう投信の英才教育。ハイスクールで学んだ社員の中には、紹介局から取扱局に人事異動し、投信取扱者となって活躍する事例も出ている。

「資産形成」できる郵便局に

 金融連携の取り組みでは「模擬コンサルティング」等含め、YHCP(横東社員の活動力や知識を高めるためのハッピーコンサルティングプロジェクト)の担当局長、リーダーが各種事業担当を連携し、社員からも意見を聞きながら各部会の課題にあった施策を展開。来客者とのコミュニケーションツールの一つ、「お客さまアンケート」は本社作成のアンケートをヒントに、横東ならではのものも作成し、話が苦手な社員も「聞くだけなら」と待ち時間等で挑戦。約7000件集計できたアンケートは年代別の関心項目もおおむねまとめ、顧客コミュニケーションを図れる準備と社員力を醸成した。
 他にも、「お知らせ活動計画カレンダー」の作成や、「コンサルティングアプリ研修」も実施。アプリ導入局の定期的なフォローと活動状況を把握し、好取り組み事例を横展開した。
 横浜市東部地区の串田統括局長(横浜池辺)は「将来的に安定した収益を上げるには、お客さまに合った商品をお勧めしなければならない。お客さまにいきなり商品の話をしても、振り向いてもらえないのは当然。距離を縮めるには〝雑談〟だ。横東の活動報告の筆頭項目に『雑談』を入れ、全局回る中で社員に『どんなことでも雑談項目に書いてね』と勇気づけ、後押しすれば、対話の恐れを払拭できる。いよいよ新しい営業体制。貯金は貯金、保険は保険でしっかり取り組むが、横串を刺し、金融連携を取りながら進める準備をしている」と意欲満々。

活動報告の筆頭に〝雑談〟を

 横東貯金担当副統括の清水貴雄局長(横浜十日市場)は「貯金担当副統括となった当初、何のつてもないアセット会社7社に訪問し『お願いがあります。地区連絡会としてしっかりと投資信託を勉強したいので、研修で教えてください』と協力依頼に歩いた。驚かれたり、喜ばれたりしたが、投信紹介を頑張った社員に投信ハイスクールのハイレベル特別研修を受けてもらい、運用会社の場をお借りしながら表彰式も行った。頑張った暁には、さらにキャリアアップできる学びの場を提供。非日常が社員のモチベーションアップになった」と話す。
 また、「3年前は投信もワンショットで販売額全国1位を取るぞ、の時代だった。資産を持つお客さまのお金をどうするか、のイメージで仕事をしていたが、これからは資産を作る方の手助けをするのが郵便局の仕事。資産運用でなく、資産形成。シフトチェンジのために『今後は積み立てに変わる』と貯金担当社員に伝えるため、地区連絡会全局を臨局している。小銭貯金はできなくなったが、『1万円ずつ積み立てるならどう積み立てますか』と聞いた上で、社員がアドバイスを言える郵便局を目指し、南関東支社(一木美穂支社長)とも連携して頑張りたい。ゆうちょだけでなく、かんぽも、アフラックも総合的なアドバイスができる社員を増やしたい」と語る。
 保険担当副統括の諸井宏幸局長(横浜矢向)は「研修や会議で『保険頑張れ』『貯金頑張れよ』と指示が出されても縦割り的になりがち。まずは、お客さまへの〝お声掛け〟がないと始まらない。貯金と保険の両副統括が社員の動きやすい体制を取ろうと営業自粛期間も情報共有し、私も全局を回っている。当初、串田統括に『どれだけ無駄話がお客さまと取れるかが実は一番大事』と言われた際、『何を言っているのだろう』と思ったが、今になって気付かされた。保険は難しい手続きにもかかわらず、横東は今、新規が上がってきた。学資が多い」と喜びを見せる。