差出の利便性 小荷物に照準、新型ポスト誕生

2021.11.17

 小型荷物や赤のレターパックなど厚めの郵便物も投函できる郵便ポストが東京都内の品川局前に誕生した。既存ポストの差し出し口を3㌢から7㌢に改良したもので、8年ぶりの新型ポスト。フリマなどEC市場の急速な拡大とコロナ禍で生じた非対面ニーズを受け、顧客が郵便局の営業時間内に窓口まで足を運ばずとも24時間差し出せるよう2年前から検討。EC物流系小荷物が多い地域の8都府県15局を選定し、10月中に局前に新型ポストを設置した。利用状況や7㌢幅がベストかなどを検証し、ニーズを確認できれば、順次全国に拡大する。幅広になった差し出し口には盗難や雨よけ防止の特殊で丈夫な透明カバーも付けられている。

第1号は品川局、8都道府県15局に設置

 2020(令和2)年度にゆうパックは対前年比11.9%増加し、そのうち、ゆうパケット等の小型荷物が同16.1%増と大幅に伸展。また、郵便物全体は減少傾向にあるが、大きいものや厚みのある定形外郵便物は増え、特にレターパックが伸びている。

品川局の三上局長㊧と日本郵便の斎藤郵便・物流事業企画部長

 日本郵便はEC市場の拡大を踏まえ、フリマサイト等の利用層の多いと思われる地域、駅、通行人が多いと想定される15局に新型ポストを設置した。
 その第1号の品川局前で10月18日、お披露目式が開催された。品川局が配達等を受け持つ総世帯数は約10万世帯、人口約18万人で区内の約半数を占める。住宅街や集合住宅、歴史ある商店街も多数あり、大企業や大型マンションなどさまざまな施設も多い。都内の中でも特にEC物流系商品の差し出しが多く、局収入の3分の1が物流。ゆうパックの年間差出は約27万個、年間約100万個超の荷物を配達している。
 品川局の三上直孝局長は「厚みのある郵便物は窓口まで持ってきていただく必要があったが、このポストであれば、差し出しやすさの向上とともに、24時間ポストに投函いただけるため、お客さまの利便性は圧倒的に向上する」と説明した。
 日本郵便の斎藤貴郵便・物流事業企画部長は「2年ほど前から検討を始め、製造業者の方と何回も打ち合わせして実験を重ねた。お客さまの反応や利用状況、設置局の取り扱い状況をまずは見ていきたいと開始した。ニーズがあれば全国に拡大したい」と語った。
 新型ポストは差し出し口に付けられた透明カバーがあることで、盗難しようとしても腕が中まで手が届かない構造。万一子どもの手が届いても、持ったまま抜くことができないようポスト内に板が入り、つかんだまま取り出せない工夫が凝らされている。透明カバーは雨風が強いときに中に吹き込まないような計算も施されている。