JP楽天ロジスティクス 国内初、物件投下の往復成功

2021.10.23

 JP楽天ロジスティクス(諫山親社長)は、山岳地帯の物資輸送の課題解決を目指し、「目視外補助者なし(レベル3)」のドローン実証実験を行う中、改正航空法に基づく高度1㍍以下から不整地へ物件を投下する往復配送に国内で初めて成功した。楽天も、日本郵便も、それぞれ政府や自治体と連携しながらドローン宅配の技術に挑んできたが、今回は①省人化による大幅なコスト減②地元事業者による運用の仕組み③最大7㌔㌘の物資配送④物件投下による往復飛行――を実現。ドローン配送がビジネスとして成り立つ日が間近に迫ってきた。

ドローン配送、山間でビジネス化近く

 7月に設立されたJP楽天ロジスティクスは、8~9月の約2カ月間、11の企業・団体・自治体が参画する「白馬村山岳ドローン物流実用化協議会」と連携し、ヘリコプター輸送が高騰し、経営難に直面する山小屋でドローン配送の実験を行った。

 白馬岳登山口の宿舎から山頂(標高約2800㍍)の宿舎までは往復約10㌔㍍、高低差約1600㍍。すでに楽天は昨年、実証実験を行い、2回目だったが、初めて台湾製の優れた機体を導入したことで、昨年は補助者含めて10人以上を要した人員体制を、今回は離陸のふもと2人配置のみで完了。人的コストを約5分の1に削減できた。また、目視外での不整地への物件投下は山間等で非対面・非接触の配送技術の要となるもので、日本初の成功にこぎつけた。

 JP楽天ロジスティクスドローン・UGC事業部の向井秀明ジェネラルマネージャーは「自動車の入れない場所や無人地帯でこそ価値を最大限発揮できるドローンを、山小屋物資輸送の新たなインフラとして定着させることは地方創生にもなる。ドローン配送はCO₂削減にも寄与するサステナブルな物流手段。将来的には医薬品配送や買い物サービスも展開したい」と意欲を示した。 

 日本郵便オペレーション改革部の上田貴之担当部長は「日本郵便も2016(平成28)年からドローンや配送ロボットを活用した省人化配送に取り組んできた。JP楽天ロジスティクスと連携し、今後も配送高度化を進めていきたい」と強調した。