続・続 郵便局ネットワークの将来像49

2025.12.24

 ウェルビーイングとは身体的、精神的、社会的に良好で満たされた持続的な状態を指す概念。単なる健康や瞬間的な幸福だけでなく、心身の調和や他者との良好な関係を含む広範な幸福感を意味する。宇和島市の三浦局(田中千也局長)、戸島局(吉田昌央局長)、下波局(堀江拓人局長)で始まった「オンライン診療・服薬指導」も十勝郡浦幌町の浦幌局(久保博史局長)でスタートした「医療・流通一体型健康推進モデル実証」も総務省の2025(令和7)年度「地域の持続可能性の確保に向けた郵便局の利活用推進事業」の一環。高齢化社会の中で〝ウェルビーハブ〟として実装への架け橋となるかが注目されている。

 宇和島市が総務省の実証として採択されたオンライン診療は、くきた内科クリニックといしかわ内科・脳神経クリニック、オンライン服薬指導は愛媛県薬剤師会宇和島支部加入調剤薬局が協力。11月13日~来年2月12日まで毎水・木曜午前10時から午後3時に予約制で受け付ける。 

 3局内の診療ブースにタブレットとヘッドセット、血圧計、体温計、体重計、パルスオキシメーターが配置され、局員が患者の方をブースに案内。タブレット機器設定とオンライン操作をサポートした後に退出する。ブース内でヘッドセットを付けると患者は医師の声を明瞭に聞き取れ、声が外に漏れることなく安心して診療を受けられる。診療は画面上で医師が血圧測定結果等を患者に確認しながら処方を決めていく。診療終了後は処方箋が調剤薬局にFAXで送られ、局員がオンラインで薬局と接続。画面は薬剤師に替わり、薬の飲用状況等を患者に確認後、薬は翌日以降に郵便局が患者宅までレターパック等で配達する。診療代金は次回の対面診療時に支払い、薬代は受け取った後に患者が受診局に現金書留で送付する。

 三浦局で11月12日に開催されたセレモニーで、岡原文彰市長は「市内は離島や半島部もあり、高齢者や交通弱者の方々の通院は困難。郵便局がウェルビーハブとして発展していく可能性を検証し、実装につなげ、地域医療の新しい未来を創造したい」とのメッセージを寄せ、西本能尚副市長が代読した。

 総務省四国総合通信局の竹下文人局長は「6月に政府の『地方創生2・0』で地域に必要なサービスを過不足なく提供し続けられる体制構築の重要性が示された。オンライン診療・服薬指導は住民の命にも直結する。行政サービスと生活支援のサービスを〝複合的〟に実施いただくことで郵便局の生活拠点としての効果が発揮される」と期待を寄せた。四国支社の紀井哲支社長は「市とは包括連携協定のもとでマイナンバーカード関連業務受託やスマートスピーカーを活用した見守り事業等で協力させていただいている。地域社会の持続は全ての地方公共団体や企業の皆さまと連携しなければいけないが、郵便局が要になるよう役目を果たしたい。実証後も持続的にサービス提供できるように頑張りたい」と意欲を示した。