東海支社初のオンライン診療 三重県鳥羽市の答志島で事業開始
東海支社(大角聡支社長)は、三重県南伊勢地区連絡会(奥山宗司統括局長/沼木局)の鳥羽答志局(阪井明生局長)において、10月1日から同支社初となるオンライン診療等業務の実証事業を開始した。
(写真 鳥羽答志局の皆さん)
郵便局が地域の多機能拠点に 高齢化進む島民の生活支える
三重県鳥羽市の答志島は、鳥羽港から北東へ約2・5㌔離れた、広さ約7㌔平方㍍、人口約1600人の離島だ。65歳以上の高齢者が49・5%を占め、全国平均を20%近くも上回っている。(池田正夫)
島は答志町、桃取町の2町から成り、鳥羽答志局は、島内でも比較的人口の多い答志地域の市営定期船が到着する港から徒歩4分ほどの坂の中腹にある。局内にはオンライン用の部屋が新たに設けられ、デスクには医師が写し出されるモニターと小型カメラ、血圧計などが設置されている。医師は遠隔操作でカメラの角度を変えながら患者を診察することができる。
診察の予約が入ると、社員がオンラインのための装置を起動して接続するなど診療や服薬指導のための環境を整え、場所を提供する。
島の医療機関は、3年前に和具港の近くにあった民間の診療所が閉院してからは、桃取町に市の診療所があるだけになった。新たに桃取診療所に通院する人も出たが、町内会の送迎車では予定が合わない人もいた。市は、閉院した民間診療所跡を譲り受け、2022(令和4)年に、桃取診療所と結ぶ「オンライン診療室」を開設したが、このオンライン診療室は答志地域からは離れているため、同地域の住人からは使いづらいとの声も聞かれた。このたび、同局に診療設備が設置され、オンライン診療が始まることで同地区の利便性向上が期待される。実証期間は来年2月末までの予定。
オンライン診療については、厚生労働省から2024(令和6)年1月16日に、オンライン診療のための医師非常駐の診療所について、必要性があると認めた場合においては、特例的に医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設を認めるとする制度が示されるなど全国での運用が明確化されてきた。
阪井局長は「住民の利便性向上はもとより、オンラインにより離島での医療人材の有効活用が図れる」と語る。鳥羽市も「郵便局が地域の多機能拠点として心強いサポーターになっていただいている」と、この事業に期待を寄せている。