全国初の新しい形で 郵便局の「空き家の調査」開始 東北支社が秋田県男鹿市から受託
東北支社(斎藤貴支社長)は長野県佐久穂町と並び、郵便局が空き家と思われる家屋を調査する「空き家調査業務」を秋田県男鹿市から受託した。9月19日、男鹿局(松橋敬一局長)で行われた取扱開始式には斎藤支社長と佐藤博副市長らが出席した。
平均を上回る空き家率
調査結果を空き家利用に活用
男鹿市では人口の減少もあり、空き家率は23.16%。4軒に1軒近くが空き家と全国平均を大きく上回っており、適正に管理されていない空き家は防災や衛生の観点からも大きな問題となっている。
男鹿市はこの10年で人口が4分の1近く減少している。今回の調査は、空き家が防災、衛生などの面で市民生活に悪影響を及ぼすことから、その事態を把握することに加え、郵便局が新たに掌握した空き家を活用して、市への定住、移住を進める「空き家・空き地バンク」制度への活用を図るものだ。
開始式で佐藤副市長(写真上)は「地域を知り尽くしている郵便局にご協力いただき心強い」と期待を寄せた。
斎藤支社長(写真上)は「地域の社会課題に対して郵便局のリソースを活用することで課題を解決するとともに、地域の活性化に寄与していきたい」と意欲を語った。
式典後、早速、男鹿局の郵便集配社員によるデモンストレーションが行われた。
市内の空き家と思われる建物前に着いた社員は、調査員の腕章を巻き、タブレットを片手に調査を始める。敷地の外から見える範囲で家屋の破損状況や、雑草の茂り具合などの状況を確認する。その後、指定された調査項目に沿って確認し、結果をタブレットに入力、家屋の様子を写真に収めて調査を終了した。調査で集めた情報は日本郵便から市に提供される。
市ではこうして得た情報を基に所有者と連携を取り、環境の整備や市の推進する空き家を活用した定住者・移住者向けの体験住宅などへの有効活用を提案していく。「空き家などは、早く発見できた方が傷みも少なく定住や移住に利用しやすい」(男鹿市役所)ことから日常的な調査が有効になってくるという。
今回の業務受託に松橋局長は「継続的に何とか成功させたいと思っている」と意欲を示し、秋田県中部地区連絡会の千田博幸統括局長(五城目)は「郵便局のネットワークをフルに生かしていきたい」と語っている。
◇
式典には本社から地域共創事業部の西村哲担当部長、地元から畠山賢局長(秋田中央)、近藤明彦局長(若美)も出席した。