住所を、もっと便利に「デジタルアドレス」 まずは「ゆうID」取得を

2025.06.28

 日本郵便は5月26日、新サービス「デジタルアドレス」の提供を開始した。「ゆうID」に登録すれば自身の住所を7桁英数字に変換した「デジタルアドレス」を無料で取得できる。次世代の便利な社会づくりを目指す。

事業者向けAPIの無料提供も


 「デジタルアドレス」とは、郵便番号含む都道府県から町域、建物情報など自らの住所全文を7桁の英数字に変換できるサービス。
「ゆうID」を取得し、郵便局アプリのデジタルアドレス入力覧に7桁の英数字を入力すると、「ゆうID」に登録済みの住所が自動で反映される仕組みだ。
英数字7桁のみで表現することで長い住所を書く手間がなくなるほか、記入ミス防止にもつながる。また、ゆうIDが個人にひも付くため、引っ越しても一生涯同じ「デジタルアドレス」を持ち続けられるなど手続きが楽になるという利点もある。
 例えば、訪日外国人や児童、筆圧が弱くなった高齢の方は住所書きが楽になるなど、誰も見捨てないSDGsに通じる。
 現段階では郵便局アプリのゆうパック・ゆうパケットの送り状作成に活用できる程度だが、日本郵便は事業者向けに「郵便番号・デジタルアドレスAPI」の無料提供も開始した。さまざまな事業者がAPIを導入すれば、デジタルアドレスを社会のあらゆるサービスに活用でき、個人・法人を問わず、住所の便利な仕組みとして広がりそうだ。
 IT普及によるwebでの住所入力機会やECによる配送の増加など、住所の使われ方も少しずつ変化し、柔軟で簡便なニーズが高まる中で、日本郵便は時代の変化に合わせ、既存の郵便番号制度と併存しながら、便利で幅広い場面で活用できる新たな仕組みづくりに取り組んでいる。
 登録住所には緯度や経度情報等も付与し、将来の無人配送やドローン等の受け取りも便利になると想定される。自宅兼事務所の場合、二つのデジタルアドレスを別々に取得できるなど何かと便利だ。
 セキュリティー面では、「デジタルアドレス」から名前を特定したり、名前や住所からデジタルアドレスを検索したりはできない設計。7桁の英数字という構造上、地理的な場所や同居者情報等は直接含まれていない。

あらゆるサービスでの活用へ


 日本郵便DX戦略部の財前幸一郎部長は「10年ほどかけて段階的に新しい社会インフラになるようなサービス構築を目指したい。住所をDX化することでデジタルアドレスを通じて新たな付加価値を一般のお客さま、事業主の方々に提供し、便利な未来を築くことに挑戦したい」と意欲を示した。
記者団の「行政手続きで利用する構想は」との質問に対し、DX戦略部の西郷佐知子担当部長は「行政手続きでデジタル庁が進めるアドレスベースレジストリとの連携は考えているが、現段階はどこかの自治体と連携し、実証試験するには至っていない」と語った。