共創の未来へ 警察連携による防犯 郵便局とゆうちょ
昨年の特殊詐欺被害額は過去最悪の約722億円となった。SNS型投資・ロマンス詐欺も被害額は約1268億円と前年の約3倍に拡大し、極めて深刻な状況となっている。日本郵便は各地の郵便局で特殊詐欺防止の注意喚起や郵便車両へのステッカー貼付などの啓発活動を実施。地元警察署との協定締結も多数に及び、来局者へのお声がけによって詐欺を阻止したケースも多い。
〝お声がけ〟で犯罪撲滅の拠点に
横浜市中区内22局とゆうちょ銀行横浜港店(渡辺眞樹店長)は2月25日、山手警察署(寺内秀幸署長)と連携協定を締結した。加賀町警察署(枝崎信也署長)に続くもの。寺内署長は「郵便局、ゆうちょ銀行さまからの願ってもないお話。警察だけでは解決できない」と期待を寄せ、横浜港局の上遠野正志局長は「区内全域をくまなく回っており、郵便局の機動力を生かして貢献を」と意欲を示した。
北海道の釧路・根室・東北見・西北見・十勝の5地区連絡会、帯広・北見グループの単マネ局は一昨年7月、北海道警察と協力して「特殊詐欺撲滅」を宣言。社員研修や啓発活動に取り組んでいる。沼袋浩主幹統括局長(芽室)は「地域の安心・安全とお客さまの財産をお守りするため警察と連携・協力し、断じて許すことのできない特殊詐欺の撲滅に取り組む」と力を込める。
福島県内の全ATM設置406局は昨年12月から、警察の防犯アプリを活用した取り組みを全国に先駆けて始めた。アプリを設定したスマホを持ってATMに近づくと、注意喚起のアラームが鳴り、画面には警告メッセージを表示。家族等にATM利用を知らせる機能も備えられている。
福島県北部地区連絡会(太田浩幸統括局長/岩代)の神藤厚副統括局長(桑折)は「県警から、詐欺のターゲットとなる高齢者の方のご利用の多い郵便局にと要請をいただいた。防犯の輪を福島から全国に」と願いを込める。
大阪府南部地区会(久保博史会長/和泉池上)岸和田南部会・岸和田北部会は昨年10月、岸和田市「ランニングパトロール隊」を受託(写真上)。業務時間外に局長たちが数人~十数人でゆっくりと地域内を走りながら犯罪の芽を摘む。
岸和田小松里局の佐野英利局長は「地域を見守りながら新しい発見にもつながる。警察との関係も、より深まった。多くの市民の方を巻き込んで継続していきたい」と意欲満々だ。
1月17日には、ゆうちょ銀行が警察庁と「情報連携協定書」を締結した。同行の情報を基に都道府県警が被害に遭っている可能性が高い口座の名義人に接触した結果、SNS型投資詐欺被害に遭っていることが判明し、被害の拡大を防止できた複数の事例など大きな成果を上げている。
警察庁組織犯罪対策第二課は「郵便局の皆さまには詐欺等の被害防止へ、ポスター掲示や訪れた顧客に積極的にお声がけいただくなど、平素から多大なご協力をいただき感謝申し上げたい。被害を1件でも減らすためには、皆さまのご協力が不可欠」と信頼を寄せる。防犯においても、郵便局の使命は大きい。