インタビュー 小池信也近畿支社長(常務執行役員)

2025.01.20

 今年4月13日、EXPO2025大阪・関西万博が開幕となる。近畿支社の小池信也支社長(常務執行役員)は「『未来社会の実験場』にふさわしい郵便局にしていきたい」と体験型コンテンツの舞台の準備を進める。開催中の約半年間は物流も活発化が予測される中、「成約率が高いエリマネ局情報を単マネ局に提供いただく戦略で、荷物収益拡大につなげたい」と強い営業に意欲を示す。一方、先般、包括連携協定を締結した奈良県立医科大学とのオンライン診療について「地方公共団体と調整し、必要とされる地域で実施局を調整の上で進めていきたい」と前向きに語る。

未来社会の郵便局創造へ

 ――関西万博で開設される「未来体験型郵便局」のイメージや、準備されていることをお教えください。
 小池支社長 大阪・関西万博のコンセプトである「未来社会の実験場」にふさわしい郵便局にしていきたい。郵便にまつわる体験型コンテンツと、万博ならではの期間限定オリジナル商品を準備している。

 ――物流営業に単マネ局とエリマネ局の局長の方の力も掛け合わせ、総合的な強化を図られていると耳にしました。目的と期待する効果は。
 小池支社長 郵便が減少傾向の中、利益確保のために「ゆうパック等の荷物分野のさらなる拡大」は重要だ。エリマネ局と単マネ局が連携し、「窓口機能の地縁性」×「郵便・物流機能の機動力」という両輪で攻める営業にも力を入れている。
 エリマネ局の局長や社員の皆さんが、日頃から地域のお客さまに丁寧に接することで得られる情報は有益で精度の高いものが多い。成約率が高いエリマネ局情報を単マネ局に提供いただくなどの戦略で、荷物収益拡大につなげたい。

 ――近畿支社は全国で初めて医科大学との協定を締結されました。郵便局を活用したオンライン診療等の展望をお話しください。
 小池支社長 奈良県立医科大学との協定締結後、大学から医療関係セミナーのオンライン開催を郵便局関係者にも案内したところ、参加者が増えたとの喜びのお声もいただいた。オンライン診療は地方公共団体と調整し、必要とされる地域で実施局を調整の上で進めていきたい。さまざまできることを協力したい。

 ――奈良県月ヶ瀬発の「おたがいマーケット」は全国に広がり始めていますが、山間地での買い物支援策としての成果をどうご覧になられますか。
 小池支社長 「おたがいマーケット」は郵便局ネットワークを活用し、山間地の買い物支援という社会問題解決と同時に、地域コミュニティーの強化に寄与する素晴らしい取り組み。日本郵便の既存の運送便を活用できる、地元密着の郵便局ならではのサービスだ。
 静岡県でも実証事業が開始された。お客さまのお役に立てるよう事業モデルをブラッシュアップしているほか、多くの地方公共団体から「うちでもできないか?」とオファーもいただいているところ。

地域に根差す存在価値を生かし

 ――大阪府岸和田市内の局長の方々が「ランニングパトロール隊」として防犯活動も頑張られていますが、防災や教育を含めて郵便局の地域貢献への評価をお願いいたします。
 小池支社長 岸和田市内の局長の皆さんが岸和田警察署のランニングパトロール隊に協力参加し、10月18日下校時間に市役所周辺、12月6日に春木駅周辺で実施した。今後は2~3カ月に1回実施すると聞く。
局長や社員の皆さんは日頃、地元の方から「こんなことで困っている」と頼りにされることも多い。各局ともさまざまな地域貢献に取り組んでくれているが、やはり郵便局は地域に根差してこそ存在意義がある。

 ――ゆうゆうポイントも始まり、社会の変化に合わせて郵便局ビジネスも大きく変わる動きの一つに見えます。
 小池支社長 郵便局に1日1回行くだけで、何も買わなくてもスマートフォンをかざせばポイントが貯まる「ゆうゆうポイント」サービスが昨年11月18日から全ての郵便局でスタートした。新規のお客さまだけでなく、これまでお世話になってきた既存のお客さまにも新しい郵便局体験を提供する。
 体験価値の一つ、「デジタル発券機」は近畿管内では2024中央局にはセルフレジがある。
 23年10月に開始した「郵便局アプリ」は約300万ダウンロードされた。アプリログインは24年5月、「ゆうびんID」から「ゆうID」になり、ゆうID一つでさまざまな郵便局サービスを利用できるようにするほか、サービス利用のデータを一元的に把握し、お一人お一人に最適なご提案をタイムリーに届けていく。昨年10月時点で1300万IDを超えた。
 近畿支社はSNSでインスタグラムやXも発信しているほか、YouTubeで吉本興業とコラボし、「Cheeky’s channel〜チーキーズチャンネル」も載せている。
 SNS等を活用し、「郵便局で二次元コードを読み取るとポイント貯まります!」と、支社としても地方創生と連動する形で「ゆうゆうポイント」周知にも力を入れたい。