インタビュー(下) ㈱エスクロー・エージェント・ジャパン(EAJ)信託 今中弘明社長 小林泰宏部長
終活関連ビジネスで日本郵便と2019(令和元)年に提携している㈱エスクロー・エージェント・ジャパン(EAJ)信託の今中弘明社長は「郵便局は全国にインフラが整っていて、信頼もある。終活は普及させやすいはず」と力を込め、同社コンサルティング事業部の小林泰宏部長は「お客さまの身近で寄り添う郵便局だからこそ、終活に対するチャンスはある」と話す。(写真上は同社HPから)
身近で寄り添う郵便局だから
――終活のニーズは高いとお感じですか。
小林部長 ニーズはとても高いと感じる。私自身、お客さまのお宅に行ってサービスについて説明すると、ご自身はもとより、ご近所の方の多くが「おひとりさま」だと言われる。それくらいおひとりさま問題が急速に進行していると言わざるを得ない。
お客さまの中には、隣の人が俺を見てくれるからまだ平気だよとサービスの利用をちゅうちょされる方もおられるが、考えてみれば隣の方も同世代。あと5年、10年先も今と同じ状況が続くとは限らない。
兄弟姉妹も同世代だし、甥姪も遠くに住んでいて自分の家庭を持っているという方も多く、将来、本当に困った時、生命に関わるような状況に陥った時に、すぐに駆け付けてくれる人が周りにどれだけいるかを、ぜひ一度改めてお考えいただきたい。もちろん費用の問題もあるが、命には代えられないと考えている。
今中社長 ひとり暮らしでヘルパーを呼んでいらっしゃる方もいるが、定期的なので、タイミングが合わなければもちろん助けることはできない。
小林部長 一度でもそういう怖い状況を経験された方は、終活サービスの利用に迷いがない。ご自身が万が一の時、たまたま誰かが来て九死に一生を得たという方は意外にも多く、そういった方は一人で生活することのリスクや怖さを身に染みて分かっておられる。
我々の終活サービス事業は、そのような不安を感じるおひとりさまの日々の暮らしを安心に変え、楽しく暮らしていただくための一助になると考えている。
今中社長 例えば銀行や郵便局の窓口等の現場で、ご担当者がお客さまの複雑な事情を察知されても、サービスの説明や信頼できる業者の案内ができない場合が多い。お客さまからのSOSがあるのに助けられない、ということが往々にしてある。
そのような時に、当社であれば、コンサルタントや当社の提携の専門家がお客さまのところまで出向き、じっくり話をしてサービスを案内できる。これが当社の強みだと考えている。
小林部長 終活サービスのご利用を検討中の方も、業者選びは慎重に行っていただきたい。たまたま雑誌等で知った業者に電話をかけて、資料を取り寄せ、セミナーに行き、信頼して契約したものの、気が付いたら財産をその団体に全て寄付するという公正証書を作らされていたという事例もある。そうなれば、人生をかけて形成された遺産が全て奪われてしまう。
一方、当社は金融機関なので、そういったことはない。しっかりした会社がお客さまに付いてあげることで、その方の人生が不安のないようなものになっていくのだと思う。我々はそれを目指して取り組んでいる。
今中社長 ビジネスは、社会が求めるからこそ成り立つものだ。終活のニーズが高まる中、郵便局は全国にインフラが整っていて、信頼もある。終活ビジネスは普及させやすいはずだ。
小林部長 お客さまの状況を改善できるにどうしたらよいか、おひとりおひとりをよく知り、身近で寄り添う郵便局だからこそ、終活に対するチャンスはあると思う。