かんぽ生命×大和証券グループ本社×大和アセットマネジメント
かんぽ生命と大和証券グループ本社、大和アセットマネジメントは5月15日、資本業務提携を合意した。提携の内容は、①資産運用分野における協業②人材交流――で、かんぽ生命は大和アセットマネジメントによる第三者割当増資を引き受け、増資後の大和アセットマネジメント株式の20%を取得。かんぽ生命の収益源を多様化し、資産運用力の強化を図ることで収益力を向上させる。大和アセットマネジメントは運用力や商品・サービス提供力の向上を目指す。3社は協業により、政府が打ち出す資産運用立国実現への貢献を果たしていく。(左から谷垣社長、増田社長、荻野社長、小松社長)
資本業務提携で合意 資産運用立国実現を共に
合意に基づき、かんぽ生命は運用する一部資産について、大和アセットマネジメントに運用を委託。大和アセットマネジメントのオルタナティブ分野を含む投資顧問ビジネス領域への本格参入で協業する。
また、大和アセットマネジメントのニューヨーク拠点にかんぽ生命運用チームの一部人材を派遣し、米国社債の運用業務を行うなどの人材交流を想定している。
日本郵政グループと大和証券グループの協業は、2019(令和元)年のゆうちょ銀行によるファンドラップ販売に続く第2弾。
記者会見で、日本郵政の増田寬也社長は「かんぽ生命の収益源の多様化と資産運用力強化により収益力を高めることは、日本郵政グループのお客さまへの還元につながり、郵便局ネットワークの価値も高められる」と期待を寄せた。
大和証券グループ本社の荻野明彦社長は「競争激化により付加価値の高い運用商品開発が強く求められる時代。日本有数のアセットオーナーのかんぽ生命様と提携することで、大和アセットマネジメントの運用体制の強化や商品・サービス提供力の向上を通じ、運用資産残高の飛躍的な拡大が可能になる」と述べた。
かんぽ生命の谷垣邦夫社長は「大手生保の中で不動産領域を除き、アセットマネジメント会社を持たないかんぽ生命としてはパートナーを探してきた。大和アセットマネジメント様は、リテール分野で著しい成長を遂げられており、目的を達成するためには最良のパートナー」と喜びを見せた。
大和アセットマネジメントの小松幹太社長は「わが社は、過去最高水準の運用資産残高を記録し、事業環境は良好。伝統的資産に投資する商品を公募投信の形で提供するビジネスに注力してきたが、投資顧問やオルタナティブ領域は限定的だったため、かんぽ生命様に協力をお願いする」と説明した。
記者団の「郵便局ネットワークを通じた金融サービスの拡充については」との質問に対し、増田社長は「かんぽ生命がさまざまな商品を販売することで、日本郵便に対する委託手数料が増えることも想定できる。郵便局ネットワーク維持にプラス材料」と強調した。
谷垣社長は「郵便局ネットワークを支える全体の経営基盤が強化されることもあり、大和アセットマネジメント様の商品を郵便局で販売することも検討する余地がある」と展望した。
郵湧新報の「民営化が進む中で今回の資本提携の意義とは」には、谷垣社長が「郵便、ゆうちょ、かんぽという三事業はまさに郵便局の事業。それぞれが強力な経営基盤を持って、全体として郵便局ネットワークを維持していく、お客さまに貢献していくというのが我々のコンセプトだ。その観点から、かんぽ生命の経営基盤が強くなることは重要な意味を持つ」と語った。