前島密翁墓前祭 「人のために」の精神を継承
日本の夜明けに尽力した郵便の父、前島密翁の墓前祭(主催:日本文明の一大恩人前島密翁を称える会/北風雄会長・吉﨑庄司名誉会長)が4月27日、神奈川県横須賀市の浄楽寺で催された。
〝ゆうびんの父〟に感動の渦
約200人が参列する中、今年は前島翁の人生を描いた小説「ゆうびんの父」(門井慶喜・作)の発刊直後で称賛の声が多く聞かれた。
午さん会では公益財団法人通信文化協会の髙橋亨理事長が「506㌻に『日本政府には金がないのだ。日本全国津々浦々、全村全里にいたるまで郵便局を置くには一体どれほどの予算が必要になるか、どれほどの人手が必要になるか』、518、519㌻には『旅だ。(中略)そのたびに、土地の庄屋に世話になった。(中略)つまりは、彼らに仕事を頼むのです。(中略)彼らに郵便局になってもらう(中略)のちの三等郵便局、さらに後世、――特定郵便局と呼ばれるものは、この瞬間に誕生した』」と紹介。
称える会と共に準備を重ねた神奈川南部地区会(久保博之会長/横須賀ハイランド)をはじめ、集まった郵政関係者に感動が広がる一幕もあった。称える会の山田洋一副会長が司会を務めた。
「称える会」の北風会長は「『ゆうびんの父』は前島翁の若い頃が生き生きと描かれている。ぜひお読みいただきたい」と呼びかけた。長谷川英晴参議院議員は「郵政事業も、政治も、何のためにあるか、原点に立ち返ることが大事だ。翁の〝人のためによかれ〟を肝に銘じたい」と表明した。
新潟県上越市の中川幹太市長は「市は9団体で前島密顕彰事業実行委員会を設立した。6月に門井氏の講演会も予定している」と述べた。横須賀市の上地克明市長のメッセージが「人の想いやぬくもりを伝える手紙の価値は高まっている」と代読された。
「郷土の偉人・前島密翁を顕彰する会」の滝沢一成会長は「前島翁の大河ドラマ制作の声が上がっている。翁が郵便制度を創り上げたのは30代。〝旅〟が偉大な人物を創り上げた」と強調した。
通信文化協会の髙橋理事長は「前島翁の人生のキーワードは①旅②情熱③現実主義――の三つ。翁の理念、〝人のために縁の下〟と〝超現実主義〟もマネジメントする人間は忘れてはならないと思う」とも語った。
南関東支社の山田亮太郎支社長は「前島翁が創業し、諸先輩方の尽力で引き継がれた郵政事業、郵便局ネットワークを維持し、便利に使っていただけるよう頑張りたい」と意欲を示した。横須賀市大楠連合町内会の新倉繁会長は「地元の誇り、前島翁の歴史を大切にしたい」と話した。