インタビュー 國定勇人衆議院議員

2021.12.21

 旧郵政省出身で2006(平成18)年から2020(令和2)年10月まで約14年間、新潟県三条市長を務め、自治体の課題等を熟知する國定勇人議員が10月31日の衆院選で初当選した。國定衆議院議員は「郵便局の行政事務受託はもっと安く委託できれば進んでいく。地域の皆の足が常に向かう郵便局にしていけば、日本社会を守る基盤となって各地域を守る好循環が生み出せる」と話す。また「郵便局は10年前よりますます地域にかけがえのない拠点になってきた。支える手伝いをしていきたい」と語る。

行政事務受託をもっと郵便局に

 ――初当選おめでとうございました。抱負などを教えてください。
國定議員 国会議員になったのは、新潟4区の金子恵美前議員が落選され、席が空いた時に「挑戦してみないか」とお声掛けいただいたことがきっかけ。晴天のへきれきだったが、選挙区に与党の国会議員が不在になったことで、本来は国会議員が果たすべき地方と国とをつなぐ仕事を市長として全て負わなければいけない状態になっていた。苦しんでいたのは自分だけでなく、選挙区内の各市町村の首長共通の思いだった。私がお役に立つことでそれぞれの地域が活性化できるならば、と決断した。まずは雑巾がけ。とにかく与えられた仕事をしっかり丁寧にこなしていくことに尽きる。
 ――特別定額給付金の給付時に市と三条局のダイレクト配送を実行し、市民申請書の配送を2日短縮されました。郵便局とのつながりは。
 國定議員 あの時は三条市内のエリマネ局の局長の皆さんが、申請書収集に限ってダイレクト配送を提案していただいたおかげで、県内30市町村のうち2番目に早く届けることができた。市長時代、最低1年に1回は市の役員と市内の単マネ・エリマネ局長の皆さんと懇談の場を設けていたが、今夏の東京オリンピックでもコソボ共和国と市でホストタウン協定を結んだ際の記念切手発行や、市内ポストに最寄りの避難所がわかるQRコード貼付なども地元局長に提案いただき、地に足の着いた連携を重ねさせていただいた。
 三条市も2005(平成17)年に3市町村の合併により誕生した市だが、新潟県内の市町村は合併後に役場まで遠くなった住民の方々も多い。今後、さらに職員合理化に向けて定数が削減されると全サービスセンターや支所の存続も危うくなる。その時に半公共機関、準公共機関として郵便局の存在価値は高まると思う。ただし、乗り越えなければいけない壁は、市町村の業務を郵便局に委託する際の委託料が高過ぎることだ。自前でやった方が安い状態になってしまっている。
 完璧な形での委託が高い価格帯になるのなら、せめて国保の現況届や年金窓口などを市の直営より、安く委託できれば郵便局の行政事務受託はもっともっと進んでいく。この課題は、予算や法律の世界ではない。会社の努力と自治体で柔軟に「郵便局の行政事務受託の在り方」を話し合うべきだ。双方が納得できる落しどころをあぶり出し、委託料さえ安くできれば相当進む。例えば、2名局も忙しくない時間帯が9-10時や14-16時だとすれば、その時間帯だけ受け付けることにすれば、局としてもう1人雇用する必要などもなくなる。
 ――政府は急速に自治体のデジタル化を進めていますが、どのように変わる感じですか。
 國定議員 専用回線を敷かなくても良い時代になっている。市役所と郵便局とを結ぶネットワークも、これまでは共通的に全市町村の住民記録や戸籍を住民サービスの約20の基幹システムに行政サービスを閉じ込めていたものを、今後はネットに載せ、「Gクラウド」化する。オープンネットワークに市民情報全部を載せ、暗号化した通信で市役所とサーバーを結ぼうとしている。
 実現すると、市役所だけが特別な存在だけではなく、同じ暗号キーを持っていれば郵便局からでもできる。今までは市町村が全部抱え込み、郵便局に移すには特別な仕掛けをしなければならなかったが、キーを共有化すれば市と郵便局は対等な関係になれる。全国各地にきめ細やかに存在する郵便局ネットワークは非常に活用できるのではないだろうか。

かけがえなき拠点支える手伝いを

 ――地方では農協の集約化が進んでいると耳にしました。
 國定議員 生活の場として頼りにされていた農協の拠点機能が失われつつある。金融機関としてもそうだが、農協はもともと農家のために生活必需品や資材を扱うことが主たる業務だった。80歳を超えて運転も難しい高齢の方々ばかりの地域で農協が撤退し、公共的な施設が郵便局しかないような地域は、私の選挙区でも至る所にある。最後に残るのが郵便局。この価値は重要だ。
 農産物含む生鮮食料品、スーパーの機能は委託すればよく、空きスペースだけ提供し、収入を得る形など含めて日本郵政グループとしてもう少しビジネスチャンスを攻めた方が良い。ただ、高額にし過ぎると喜ばれない。安定して継続でき、地域の皆の足が常に向かう郵便局にしていけば、日本社会を守る基盤となって各地域を守る好循環が生み出せる。郵便局は10年前よりますます地域にかけがえのない拠点になってきた。支える手伝いをしていきたい。