新春インタビュー 日本郵政 増田寬也社長
――政府が地方創生に力を注ぐ中、日本郵政グループとしてどのように郵便局施策やビジネスと連動されるお考えですか。
増田社長 郵便局では、住民票の写し等を交付する「公的証明書の交付事務」や、法改正等を受けて郵便局で取り扱いが可能となった「マイナンバーカードの電子証明書関連事務」「マイナンバーカードの交付申請の受け付け等の事務」「プレミアム付商品券の販売事務」や集配社員による「空き家調査事務」など、2024(令和6)年10月末の時点で、393自治体から事務を受託している。
郵便局らしい温かな新ビジネスを
また、地域住民の暮らしを支える観点から「郵便局舎を活用したオンライン診療支援」や「郵便局でのオンラインのスマホ教室」といった新たな取り組みも行っており、本年1月からは「郵便局の空き家みまもり」のサービス提供を開始した。
今後も既存のユニバーサルサービスに加え、地域のニーズを十分に把握しながら、郵便局らしい温かみのある商品・サービスを展開し、全国の郵便局ネットワークを通じ、郵便局が地域を支える役割の一部を担い、住民の方々の利便増進に貢献することが、地方創生につながるものと考えている。
――デジタル時代の大波への対応について。ゆうゆうポイントも始まりましたが、システム改革の資金投資は大胆に行われる方針ですか。
増田社長 昨年5月に公表した見直し後の中期経営計画「JPビジョン2025+」の3本柱の一つに「DXの推進などによるUX(ユーザー体験価値)の向上」を掲げている。業務効率化とお客さまが利用しやすく、社員が働きやすい郵便局サービスを具現化するため、24年度と25年度の2年間で戦略的なIT投資として、日本郵政グループ全体で2150億円の投資を行う予定。
昨年11月に開始した「ゆうゆうポイント」、郵便・物流サービスの機能拡充や金融2社のデジタルサービスとの連携により「郵便局アプリ」の利便性・価値を高め、お客さま体験価値向上を目指す。また、社内ネットワークのオープン化および業務端末の集約・高度化などにより、1台の端末でさまざまな業務を完結できる環境を整備し、社員の利便性を向上させていく。
――共創プラットフォームをさらにどう構築されますか。
増田社長 既存パートナーとの多面的な協業の発展に加え、グループ外の多様なパートナーと郵便局との商品・サービスを生かした新規ビジネス等も検討・推進する。
郵便局等の空きスペースを他の用途に有効活用するビジネスやリアルなネットワークとデジタルを結合させる新たな情報ビジネス、グループ各社のサービスを一体でご利用いただける「ゆうID」の運用、日本郵政キャピタルを通じたスタートアップ投資と、スタートアップの共有価値創造を目指すアクセラレーションプログラムにも取り組む。
郵便局を核とする資産を有機的に結合し、収益獲得と社会的な課題解決の両立を目指した新規ビジネス等をあらゆる分野で創出していきたい。