インタビュー 長谷川英晴参議院議員(全特顧問・全簡連顧問・郵退連顧問)

2024.04.09

 「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(山口俊一会長)の事務局次長に就任した長谷川英晴参議院議員は「日本郵政グループとして防災に全面的に関わり、局長や社員の防災士や消防団の〝点〟としての動きを〝面〟でつなぎ、各地域を守るべきだ」と指摘する。社会環境が大きく変化する今こそ、グループ一体をあらゆる側面から強めることで存在価値を高めるべきと提言する。

防災活動〝点〟をグループ総勢の〝面〟に

 ――「令和6年能登半島地震」で現場の方々は、さぞ大変でいらっしゃると思います。
 長谷川議員 発災から数日後、OB局長の方から現地の様子が聞けた。日中はガレージで過ごし、夜は車中泊の中、日中は避難所に行ってボランティアをされていることを知った。
 ご自身が被災しているにもかかわらず、地域のために何ができるかを常に気にかけ、行動を起こす姿は先代から受け継ぐDNA。〝全特魂〟ここにあり、と思った。

 ――防災・減災に日本郵政グループは今後、どう関わるべきとお考えですか。
 長谷川議員 全国郵便局長会(末武晃会長)が防災士資格取得を推奨し、約1万3000人の局長が防災士。消防団にも多くの方が加入している。局長や社員の方々もさまざまな防災活動をされているが、任意団体の活動にとどまっている。
 会社は社内で消防団加入を文書で推奨してはいるが、直接は携わっていない。本来は日本郵政グループとして防災に全面的に関わり、防災士や消防団の「点」としての動きを「面」でつなぎ、地域を守るべきだ。
 三重県津中央郵便局のように、機能別消防団が10人ほど組織化されて、局から半径約300㍍以内は人命救助のためにAEDを使って、消防車や救急車等々が来るまでの応急処置を手伝う地域もある。
 神奈川県吉野郵便局では、空きスペースに段ボールベッドなどを備蓄しているし、高知県高知中央郵便局は行政と契約して、災害時の指定避難所となっている。
 それら防災拠点の取り組みに、局長や社員の方々の防災士や消防団等々の活動を結び、グループとして地域単位で「できること」を整備し、どう貢献できるかを真剣に考えれば、さまざまな備えを可能とし、国土や人命をもっと守っていけると思う。

 ――日本郵政グループは中期経営計画を見直されますが、現場にやる気が出て、収益も改善するには何が必要と思われますか。
 長谷川議員 グループ一体をどう構築していくか、だ。これまでも、ゆうちょ銀行やかんぽ生命と日本郵便が連携し、いろいろ取り組んできたが、費用対効果の観念が強過ぎて、一緒に何かを盛り上げていこう、とする動きが少なく見える。金融営業も研修やマニュアル配布だけでは、反転攻勢までは難しいだろう。
 石川県七尾市の南大吞郵便局でのオンライン診療は総務省の実証実験だが、実装として横展開するとなった際には、日本郵便とかんぽ生命が地域医療体制を一緒に盛り上げ、両社間の距離が縮まれば、それに伴い営業的な連携もスムーズに進むし、地域での郵政グループの存在価値も一層高まることになるのではないか。
 ゆうちょ銀行も、決済口座をどうしていくべきか、年金の新規をどう獲得していくか、など一緒に取り組むことがあまりない。郵便局窓口のメイン商品は貯金だ。一緒にやれることをもっと「見える化」していただきたい。

 ――千田日本郵便社長にご提案はありますか。
 長谷川議員 「ESなくしてCSなし」「動いたら負けではなくて、動かないと負けという文化にしたい」など、象徴的なメッセージで発信されていることは素晴らしい。
 しかし、進む要員減や数年来の社員の大量処分などの過去が完全には拭い切れず、会社への帰属意識や事業に対する誇りは薄れている。局長や社員の皆さんが「ああ、会社変わったな」と実感できるまで全速力で進めていただきたい。

 ――郵政民営化法見直しについては。
 長谷川議員 郵政民営化法第2条に「内外の社会経済情勢の変化に即応し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上等を図るため、地域社会の健全な発展に配慮しつつ、国民生活の向上および国民経済の健全な発展に寄与すること」と基本理念が記されている。
 地域間格差、少子化高齢化、買い物や医療等々の難民問題、デジタル化も全てが急激な社会環境の変化だ。法に明記される〝即応〟に鑑みれば、環境変化に合わせて法律も変えるべきだろう。