変わる資産運用(上) なかのアセットマネジメント㈱ 中野晴啓社長
日本橋兜町――。世界のマーケットとつながる東京証券取引所の目の前のビルの中に「なかのアセットマネジメント㈱」(中野晴啓社長)が誕生した。第一生命ホールディングスやスパークス・グループのほか、さらに大手金融数社が出資する予定だ。一見、華やかな舞台とは裏腹に、投資信託協会の前副会長でもあった中野社長の眼の先にあるのは終始一貫、〝生活者〟の方一人一人。「ビジネスの目的は社会に尽くすこと。幸せな人生に導く経済的なお手伝いをする」との信念は微塵も変わらない。同社は3月、長期・積立・分散のための投資信託2本の運用を開始する。
社会に尽くすビジネスを
中野社長 3月中の運用開始に向けて猛烈なスピードで金融当局との折衝を重ねており、年明け早期の登録を目指している。通常は1年程度を要するハードルの高い申請だが、最善の努力を尽くしているところだ。
前会社で16年トップをさせていただいたが、親会社経営トップの「口座残高を10倍に」の目標と私の目標は残念だが、かみ合わなかった。道半ばの思いを実現するために新会社を立ち上げた。
――ビジネスの目的は、もうけることではないのですか。
中野社長 ビジネスの目的とは、社会に尽くすことだ。社会課題をしっかりと見据え、解決に懸命に取り組み、実現することで生活者の方々がお客さまになってくださる。幸せな人生に導く経済的なお手伝いに徹底したい。
――新NISA(少額投資非課税制度)の意味合いを教えてください。
中野社長 NISAの非課税期間が新制度では無期限になるため、激増する。永久保有ができるため、長期投資が根付く。つみたてNISAの限度額はこれまで年40万円で資産を大きく蓄えるレベル感はなかったが、新制度は1人当たり生涯非課税枠が1800万円。
年40万円が120万円になるが、一般NISAとつみたてNISAが合体するため、実質360万円になる。桁が違う。NISAが長期投資のメインストリームの場になる。岸田内閣が資産運用立国を目指すことは評価すべきだ。