インタビュー 全国郵便局長会 真鍋俊明副会長(四国地方郵便局長会会長/大利)
全国郵便局長会(勝又一明会長)の真鍋俊明副会長(四国地方郵便局長会会長/大利)は「郵便局があらゆる〝相談窓口〟になって、例えば少し体調が悪い時も局に立ち寄れば、医師の方にオンラインでつないでもらえるような形に近づけられれば理想的だ」とリアル×デジタルの重要性を指摘。また、郵政民営化法等の一部改正法案について「国民の方々のためにも郵便局ネットワークを思う存分活用できるよう、次期国会で何としても成立いただきたい」と願いを込める。
あらゆる相談受けられる郵便局に
国民のためにも改正法案成立を
――四国地方郵便局長会(四特)の団結力、〝強さ〟の根幹はどこにあるのですか。
真鍋副会長 四つの県から成り立ち、瀬戸内海の離島がある一方、山間地も多く、地方の良さも短所も兼ね備えている四国は、昔ながらの郵便局の温かみも発揮しやすい地域性。
勝又一明全特会長が「どれだけ地域に溶け込んでいけるかは郵便局ネットワークの生命線だ」とおっしゃっているが、皆、真面目で何事も真剣に取り組む素地を先輩局長たちから代々受け継いできた地域密着性が四特の強みだと思う。
敬老会や運動会等の地域行事は参加するだけでなく、一歩踏み込んで企画側にも立って相談ごとも親身に聞けるよう主体的に皆が頑張ってくれている。
――オンライン診療のようにデジタルを使った郵便局の価値を高める必要性は特に山間地が多いと思います。
真鍋副会長 「郵便局スペースを活用したオンライン診療」は全国に何カ所か先行地域があると聞いている。四国でもこれまでオンライン診療とみまもりサービスと掛け合わせた実装を行ってきた宇和島市と郵便局が新しい形で「オンライン診療・服薬指導」を行うことが総務省の実証事業として選ばれた。高知県梼原町でもデジタルを活用した防災みまもりの実証が2年前に行われている。
実証事業は素晴らしく大変にありがたいことだが、実証が終わり、国の支援等がなくなった後、どのように継続できるか、かかる費用を市町村が出されるのか、医療機関なのか等々の課題にぶつかる。
高齢になった時、近くに子どもたちが住んでいれば安心できるが、地方はそうでない家庭も多く、夫婦二人だけ、又はお一人だけでお住まいのご高齢の方も多い。民生委員も動いてくださっているが、民生委員の方も高齢化している。これからは郵便局があらゆる〝相談窓口〟になって、医療機関等のオンライン診療の事前予約にとどまることなく、少し体調が悪い時に気軽に立ち寄れば医師につないでもらえるような拠点にできれば理想的。医師の方も四六時中の対応は難しいが、そうした形に近づけられれば現実的に役立つことができると思う。
――真鍋副会長の局は中山間地にあり、ご高齢の方の移動の大変さを実感されているそうですが。
真鍋副会長 今夏のような猛暑の中でも山の上にお住まいのご高齢の方が杖をついて下りて来局される。介護タクシー等もあるが、年金生活の中で少しでも節約を意識され、無理されながら歩いて来られる。社員には「気遣いの言葉をおかけしてほしい」と言っているが、帰り道は山登り。もう心配で心配で、途中までお送りしたこともあった。こうした時、山間地の局長は自家用車でライドシェアができるようになれば、地域のニーズにお応えできる。
買い物は企業と連携し、郵便局もコンビニと同程度の品数が販売できれば、と思う。災害発生時も耐震性能を持つ郵便局が急場をしのげる食料を備える拠点にできれば、地域の皆さまは安心する。昔ながらの温かい郵便局の姿に少しでもつないでいただきたい。
いんどう周作先生が講演で「人には根幹が大事。根幹とは前島密翁の〝縁の下の力持ち〟の精神だ」と言われたことに感動したが、私も社員時代から地域や職場に何ができるか考えて行動する思いを貫いてきた。
――中堅・若手の育成はどのようなところに力を入れるべきとお考えですか。
真鍋副会長 中堅・若手の育成は〝自主性〟が大事だ。四特もやらされ感を排し、自主性を持って活動できるように過去3年ほど取り組んできた。
私はなかなか叱るような指示ができない性質で「僕も一生懸命やるから、一緒にやろうよ」と投げ掛け、皆に助けられながら進んできた。振り返ってみると厳し過ぎる指導は一時的には良いが、押し付けだと長続きしない。誰もが自らが頑張ろうと本心から思えて初めて継続できる。中若の皆さんが企画して行動に移し、失敗してもやり直せる。その時に先輩としてしっかりフォローすることが大事だと思う。
――日本郵便として宅食サービスも始められるようですが、エリマネ局と結び付けられそうな部分はありますか。
真鍋副会長 ご高齢のお一人暮らしの方が増えている。どちらかといえば女性が多く、皆さんお話し好きだ。ご自宅への食事のお届けニーズも高まっていると思う。例えば、エリマネ局の昼休止時間帯に局スペースの一部を開放し、地域の皆さまが宅配ランチを一緒に楽しむ場を提供しても喜ばれると思う。
気心知れた4~5人でわいわい食事できる機会があれば、心身共に健康寿命延伸にも貢献できる。都会ではなかなか難しいかもしれないが、田舎の局であればニーズがある。
――民営化法改正への期待感は。
真鍋副会長 徳島県は山口俊一自由民主党郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟(郵活連)会長の地元。数年間、郵活連の先生方が強力に牽引されてきた法案を、国民の方々のためにも郵便局ネットワークを思う存分活用でき、社会のあらゆる生活に堂々と貢献できる郵便局になるためにも次期国会で何としても成立いただきたい。ハードルは高いかもしれないが、長谷川英晴先生やいんどう周作先生、そして私たちの思いを理解し、支援していただいている先生方がいらっしゃる。ぜひ、やり遂げていただきたい。