インタビュー 川崎ひでと総務大臣政務官
――行政サービスの補完的役割を担う郵便局の利活用について状況をお教えください。
川崎政務官 全国約2万4000局の皆さまが地域を支えていただいていることに、心から感謝を申し上げたい。元旦出発式に出席させていただいたが、年賀状の通数が昨年より4割近く減ったと伺い、今後の郵便局の在り方について検討の必要性を改めて感じた。
〝そこに郵便局がある〟価値を高める
2月末時点で、マイナンバーカードの交付や空き家調査など、392自治体から5252局で自治体事務の一部を担っていただいている。令和7年度からは特別交付税措置を創設しており、地域に根差した郵便局ネットワークを最大限に生かせるようバックアップしていきたい。
――地域住民の生活を支える医療や買い物支援などについては。
川崎政務官 広島県安芸太田町の安野局では、各種証明書の交付事務のほか、オンライン診療や服薬指導も行っていただいている。山口県周南市の高瀬局でもオンライン診療等を実施されており、高齢者の方々にとっては車の運転も難しい状況の中、身近な郵便局でのオンライン診療等は大変ありがたい。
また、既存の配達網を活用した共助型買い物サービスを、奈良県奈良市、静岡県静岡市、山形県山辺町等で行われ、利用者からも大変良い反応をいただいている。
スマートスピーカーを活用したみまもりサービスも延べ21自治体で実施されている等、行政の手がなかなか届かないところまで、ユニバーサルサービスにプラスαで郵便局の皆さまにたくさんのことをやっていただいており、地方の存続のためにも本当にありがたい存在だと思う。
――今後のデジタルサービスの在り方は。
川崎政務官 人口減少社会に打ち勝つためにはDXを取り入れる必要があるが、危惧しているのはデジタル・デバイド、つまり、デジタルの恩恵を受けられる人と、そうでない人に格差が生まれることだ。その意味でも、各地の郵便局でスマホやタブレットの使い方を学べる環境をつくっていただけることは重要。
この少子高齢化時代においては、高齢者の方々が健康に生きることのできる社会づくりがポイントになってくる。高齢者=動けない、ではなく、人生100年時代を「健康的に」生きられることが大切だ。
科学的にも、人と話して、笑って過ごすことが健康の秘けつといわれている。身近な郵便局に足を運び、顔見知りの局長・社員と話してコミュニケーションを取り、時にはスマホの使い方を学び、オンライン診療もできるとなれば、〝一挙何得〟にもなる。
――デジタル時代におけるリアルな郵便局の存在意義とは。
川崎政務官 よく、アナログからデジタルに取って代わられると思われがちだが、実はデジタルが発達すればするほど、アナログの価値や必要性が生まれる。郵便局の方々は地域の状況をよくご存じなので、私自身も行くたびにいろいろ話を伺うことができ、大変お世話になっている。
先日も、ある郵便局を訪れた際、年配のお客さまが局長に、保険のことで家族に相談したが、よく分からなかったと話されていた。すると、「私に言ってくれたら、すぐ教えるのに、なんで言ってくれんのや」と、局長が親身に話されている姿を目の当たりにして、とても感動した。
地方創生においても、日頃から地域の方々と接し、人の温かみのある郵便局が全国津々浦々に立っていることの価値を向上させていくべきだ。民間企業にありがちなコストカット型の考え方ではなく、郵便局がそこに存在していることの意義を、コスト以上のパフォーマンスを出し、拠点としての存在価値をさらに発揮していけるよう、精いっぱい支援させていただく。