日本郵便 2022年3月期中間決算
日本郵便の中間決算は減収増益。営業収益は1兆7855億円(前中間期比600億円減)と、収益認識基準の適用に伴い、一部取引が総額ベースから純額ベースになった影響などで同3.3%減(為替影響による増収443億円を含む)の減収となった。
経費改善で増益、上方修正も
営業利益は郵便・物流事業が同7億円の微増、郵便局窓口事業は手数料減の影響が大きく同32億円減となったが、国際物流事業の増益等で385億円(同113.5%増)を計上した。中間純損益は64億円となり、前中間期の赤字分65億円と合わせて同129億円増で黒字に転換した。
各事業とも人件費等の営業費用をコントロールし、同805億円減まで圧縮・改善した成果とともに、国際物流事業のフォワーディング(貿易事務や輸送手配に付随し発生する専門業務)の好調等を主因に営業利益が上振れする見通しとなったため、通期業績予想を営業利益は+600億円(郵便・物流事業+300億円・郵便局窓口事業+100億円・国際物流事業+200億円)の1400億円、当期純利益は+600億円の800億円にそれぞれ上方修正した。
郵便・物流事業は減収増益。巣ごもり消費増の反動は続き、主力のゆうパック(ゆうパケット含む)が同13.3%減(ゆうパケットは同22・7%減)となった。一方、経済活動の持ち直しに伴い、ダイレクトメール等の差出増やワクチン接種券等、国際郵便引受再開の郵便増などを受け、ゆうメールは同2.8%増、郵便物も1.4%減と減り幅が改善した。営業収益は荷物減により、9540億円(同86億円減)となったが、経費を抑え、営業利益同7億円増を達成した。
郵便局窓口事業は減収減益。受託手数料が三事業で同90億円減少(郵便6億円減、銀行55億円減、保険28億円減)と営業収益が減収。営業利益が195億円(同14.2%減)の減益となった。その他収益のうち、物販収益の一部が総額ベースから純額ベースに移行したことで、161億円(同314億円減)、不動産事業も160億円(同54億円減)。提携金融事業は40億円(同11億円減)と振るわなかったが、これから改善に挑んでいく見通し。
国際物流事業は減収増益。営業損益が同2億7100万豪㌦増となり、1億8700万豪㌦の黒字に転換した。フォワーディング事業が貨物需要増およびコンテナ船中心に需給ひっ迫による単価上昇に伴って増収となり、黒字転換。一方、ロジスティクス事業(輸送・倉庫管理や資源・政府分野の物流等サービス)は横ばい、エクスプレス事業(速達便や貨物輸送サービス)は譲渡完了に伴う費用減少等により、赤字幅改善となった。
日本郵便の上尾崎幸治執行役員は「楽天との提携効果、佐川急便との協業も数字はこれからだが、EC関連は今後も力を入れる分野。価格競争に陥らないよう、コストに見合った対応を図りたい」と語った。