日本郵政 根岸一行社長 新春インタビュー「人生100年時代のニーズに応えたい」
2026.01.18
――郵便局が地域の核となって新しい産業のビジネス化に貢献する取り組みは。
根岸社長 社員を地方公共団体等に派遣して一緒に新サービスを生み出す共創イニシアティブは数年間挑戦し、それぞれ頑張って成果を実らせていると思う。現時点では別の地公体の業務受託など既存の取り組みを面的に広げる提案をしているが、新規事業創出は個々の地域の状態を見ながら模索する必要がある。地域によってできることはことなってくるが、郵便局として地域活性化のためにどのようなことができそうなのか、地元の皆さまとよくよく話し合い、各地で今、模索しながら新たに生み出そうとしている。
地域の事例をサポートしたい
――全国約2万4000局ある郵便局は画一的との意見もあるようですが。
根岸社長 若者向けの「ズッキュン♡郵便局」というイベントではネイルなどもできる。社会の許容度や時代に応じて柔軟に変えていくのが自然な流れだと思う。
――法務局と岐阜県美濃加茂市が連携する外国人向け合同説明会に郵便局も初参加し、地域の多文化共生支援の新しい動きへのご期待を。
根岸社長 東海支社長の時には司法書士の先生方と連携し、相続等の相談会も開催した。支社と東海農政局で何を連携できるかを協議したこともある。いろいろな連携が本社一律というより、支社単位のものがあると思うので期待していきたい。それぞれの地域で事例が積み上がって100局、200局と増えていけば収益にもなる。積極的にサポートしたい。
――中小企業向けの金融サービスを地域金融と連携する計画等はありますか。
根岸社長 ATM連携やエクイティ性資金の供給もあって関係性ができている。ゆうちょ銀行は個人のお客さまが圧倒的に多い。人生100年時代という超高齢化社会の中で相続相談等もできないかと思っている。金融機関様が撤退する際、ATMを残したい意向を受け、昨年9月末時点で16金融機関のATMを38局内に設置いただいている。郵便局との関係の中で組み合わせを考えられるとありがたい。
――次期中期経営計画骨子で不動産事業は「将来的には業界トップ10入り」も掲げてらっしゃいますが、戦略をお教えください。
根岸社長 従来は東京や名古屋、大阪、福岡など、新幹線の主要駅近くにある大きな中央郵便局を建て替え、賃貸オフィスにするのが典型的な例だった。ただし、不動産収益を上げるには賃貸オフィスだけでは難しい。分譲マンションの方が利益が積み上がる余地がある。賃貸を継続し、分譲も行いたい。自分たちが持つキャッシュを使って不動産開発をして20年、30年で徐々に回収するやり方は手元資金に限界があり、次への投資がしづらくなる。分譲は売るとキャッシュが生まれるため、新しい不動産開発に充てていきたい。
――不動産事業の経営資源と人材確保は外部との連携や買収を視野に入れてますか。
根岸社長 不動産事業は経営資源確保や人材が必須。現在中核となっているメンバーは既に中途採用で来ていただいており、引き続き募集や採用は継続していきたい。一気に規模を拡大しようと思った時には提携やM&Aも選択肢になり得る。ニーズに合う相手方がいらっしゃれば柔軟に考えたい。
――次期中計骨子には「郵便事業の持続性確保に向けた議論が必要」ともありますが。
根岸社長 郵便は2001(平成13)年ピークから今日までに取扱い物数は半減し、さらに減っていく。オペレーションは1日決まった経路を配達するが、物数が減るほど同じオペレーションを続けるとコスト高。郵便、荷物、速達等を同じお宅に3系統で配達する場合もある。やり方や複数拠点を一つにまとめて広域を配達し、配置人数を見直すなど、将来を見据え、持続可能なオペレーションを模索する必要がある。
――「総合物流事業への転換」や一連の不祥事案のガバナンス立て直しについてもお聞かせください。
根岸社長 総合物流は郵便減少を荷物増でカバーすると現中計で言ってきた。しかし、個人のお客さまにお届けするサービスは競争が激しく利益の積み上げが難しい。倉庫や梱包など川上の別のマーケットと組み合わせ、一貫したサービス提供により利益を出せることもある。物流全体で取り組めるよう発想を変えなければならない。デジタル点呼のシステムを2025(令和7)年度内に全局に入れていくと
約束している。また、郵便局の近くで支援するサポート組織の立ち上げも次期中計骨子に盛り込んでいる。26年度中に立ち上げる。