第17回 年賀状思い出大賞
娘が0歳のときから、家族写真入りの年賀状を自分でデザインするようになり、今年で十五年目になる。スマホで撮影した写真をコラージュする年もあれば、写真館で撮影したものを使った年もあった。
佳作ai様 「年賀状をつくる理由」
いずれも一年の家族写真を見返して作るから、制作には数時間を要する。慌ただしい師走の最中に取りかかるものだから気持ちは焦り、今回でもうお仕舞いにしよう。これからはSNSの挨拶だけで充分!と思いながらも、毎年作り続けているのには理由がある。
一年分の写真を見返すと、娘の成長ぶりに目を見張り、自分や夫の年の取り方に多少傷つき、旅先の出来事、食べた料理の味、なんということのない会話が思い出され、一年無事に過ごせたことに感謝せずにいられない。穏やかな日常が当たり前ではない世の中で、一年無事に過ごせたことを有難いものとし、送り先の方々の息災を願う年賀状作りは、未来につながる平和の草の根活動だと信じている。
佳作 もちまる様 「ぷっくりヘビと歩む歳月」
二〇〇一年巳年。新世紀が始まって、最初のお正月。付き合い始めたばかりの彼から届いた年賀状には、もちを食べすぎてお腹がぷっくり膨らんだヘビのイラストとともに、こんな言葉が添えられていた。「君との新世紀は楽しみがいっぱいです。ずっと仲良く楽しくいこう!そして、このヘビみたいにならないように気をつけマス」それから時は経ち、十二年後の巳年。年賀状をくれた彼は夫となり、我が家の年賀状には春から小学生になる息子の写真を載せた。
そして、さらに十二年後の今年。我が家の年賀状には、あの時のヘビにちょっと似ている、ぷっくりお腹の夫と、私よりも背が高くなった息子との写真が載っている。そんな息子も春から大学生だ。次の巳年の我が家の年賀状には、どんな風になっているだろう。次の十二年もずっと仲良く楽しく過ごせていたらいいなと、二十四年前にもらったヘビのイラストの年賀状を眺めながら、思いを馳せた。