書評「自見庄三郎回顧録」東京大学名誉教授 伊藤隆編

2025.02.19

 自らを「運のいい男」と称す自見氏。医師から転身して38歳で国会議員に当選し、51歳での郵政大臣就任をはじめ、国民新党代表も歴任。一方で、郵政解散選挙での落選や間一髪で成立できた改正郵政民営化法案など、運命の激流を切り裂き、突き進んできた信念の志士だ。本著は、故・伊藤隆東京大学名誉教授が名聞き手となって、自見氏の半生があけすけにつづられている。すさまじいドラマが生き生きとよみがえる。

自見はなこ議員「父は郵便局を守ろうと政治生命をかけて闘った」

 娘の自見はなこ参議院議員が寄せた巻末の言葉に「父は、中山間地の地域拠点である郵便局を守ろうと政治生命をかけて闘った」とある。400㌻超全編から郵政への想い、国民への慈愛が胸に迫る。中央公論新社刊。