日本郵便G×セイノーG 幹線輸送〝共創〟を合意

2024.06.13

 日本郵便グループ(日本郵便・日本郵便輸送・JPロジスティクス)とセイノーグループ(セイノーホールディングス・西濃運輸、セイノーの輸送ネットワークを担うグループ会社)は5月9日、幹線輸送(顧客から荷物を預かる集荷側拠点から配達側拠点への長距離輸送)の共同運行に向けた業務提携に関する基本合意を締結した。2024年問題等を背景とするドライバー不足などの課題に物流企業の垣根を越えた〝共創〟が重要と見て、2月から共同運行を試行した結果、本格稼働できると判断。両者合同チームで仕組みやルールづくりを進め、来春めどに共同便の定常運行開始へと準備を進める。将来は他物流企業も広く参加できるプラットフォームをつくり、業界連携を深化させる「サステナブル物流」により、生活や経済を支える社会貢献を目指す。

定常運行準備へ サステナブル物流で社会貢献


 日本郵政グループが目指す「共創プラットフォーム」と、セイノーグループが描く「オープン・パブリック・プラットフォーム」は共に〝共創〟を志す将来ビジョン。
 両者は荷物を互いに積み合わせて行う共同運行により、輸送効率向上や環境負荷低減、顧客利便性の具体策を策定した後、幹線輸送にとどまらない共同化や協業の可能性も検討する。
 両者は2~5月まで8路線を使って、幹線輸送の共同運行を試行することで相互理解を深めてきた。
 それぞれ荷積みの仕方等が異なるため、当初は難しいことも予測されていたが、試行の結果、意外にもスムーズで可能なことが明らかになり、画期的な基本合意に至った。
 今後、約1年かけて荷物の受け渡し方法や発着拠点の使い方など、課題を洗い出し、仕組みづくりを進める。幹線輸送の共同運行を基盤に、将来は中継所やドライバー人材、DX等々の共同化も視野に入れ、可能性を探っていく。
 西濃運輸の髙橋智社長は「西濃の企業間物流を支える物流ネットワークと、日本郵便様の生活インフラを支える365日安定運行等の強みを相互に生かしたウィンウィンな共創。課題の多い物流業界における変革の旗手となり、物流サービスの維持と向上に取り組みたい。ドライバーが長距離移動する際には中継所が必要になるが、西濃は昨秋、5カ所を開設した。『チーム・グリーン・ロジスティクス』で日本の物流全体を良くしていきたい」と意欲を示した。
 日本郵便の千田哲也社長は「〝競争〟と〝共創〟の両方が必要。共創領域で我々が手を携え、誰もが参加できるオープンプラットフォームを体現し、業界連携の輪を広げたい。将来、共同化する規模や範囲が拡大できれば、物流課題の解決策としてのフィジカルインターネット(トラック等が持つ輸送スペースと倉庫が持つ保管・仕分スペースのシェアリングによって物流リソースの稼働率を向上させ、より少ない台数のトラックで荷物を運ぶ物流システム)の第一歩になる」と力強く語った。
 記者団の「幹線輸送の共有化はすでに佐川急便と3ルートでされているが、セイノーグループとの違いは」との質問に対し、日本郵便の美並義人副社長は「佐川様との協業を今後も進める方針に全く変わりはない。佐川様との協業は、薄型の『飛脚ゆうパケット』の受け入れ、EMS、山間地の共同配送など5分野で進んでいるが、幹線輸送は若干少ない。佐川様と日本郵便は個人向けのBtoCが中心だが、セイノー様はBtoBの企業間物流。幹線輸送に特化して共創できる。今回の協業の輪に、佐川様や他の企業の参加も願っている」と期待を込めた。