郵政政策部会 第1次答申素案
総務省の情報通信審議会郵政政策部会(米山高生部会長)「デジタル社会における郵便局の地域貢献の在り方」は3月26日、意見募集を行うたたき台としての1次答申素案を審議した。
地域のコミュニティー・ハブに
素案の肝として提示された郵便局の在り方は「地域のコミュニティー・ハブ」。行政サービスの補完的な役割や地域に必要な買い物やみまもり、医療等のサービスを提供する拠点の役割、郵便局データ活用も高いニーズがあることに着眼点を置いた。委員からは「コスト問題をどう解決すべきか」との疑問も投げかけられた。
2022(令和4)年10月から継続的に行われている郵政政策部会は今回が11回目。検討項目は①自治体をはじめとする公的基盤と郵便局との連携の在り方②郵便局のデータ活用を通じた地域貢献の在り方③郵便ポストの役割――の3点のうち、たたき台はポスト以外の部分をまとめている。
また、「支所・出張所の維持に困難を感じる」自治体は22%、行政事務の補完的な役割を郵便局に委託する自治体は399団体、受託局は5454局あり、医療機関や交通事業者と連携し、生活支援サービスを提供する郵便局が各地にある状況も記された。
総務省は「自治体や企業の公的サービスを提供する拠点がなくなってきた。うまくまとめながら提供できる拠点が地域にあるとよい。多様な機能やデジタル技術なども使い、民間企業などとの新たな連携も含めて地域経済社会の活性化の推進拠点に郵便局がなることも期待し得る」と説明。
また、「能登半島地震では、石川県公表の安否不明者リストを日本郵便が持つ世帯情報と照合。被災地から他地域への転出者に県のお知らせを発送する際も、郵便局データが活用され、自治体ニーズが高い」と報告した。
委員全員から「コミュニティー・ハブ」の郵便局に期待する意見が上がった。東條吉純部会長代理は「コミュニティー・ハブ機能を実現するには人とお金の問題がセットで浮上する。防災の重要なデータは公共寄りで価値が高いため、公のお金を入れてデータを整理し、活用できるよう政府が仕組みづくりをすることが重要」と強調した。