インタビュー 自見はなこ参議院議員

2025.09.06

 「新しい地方経済・生活環境創生本部」(山口俊一本部長)の「地方創生2.0基本構想」にも明記された「郵便局を活用したオンライン診療」。自見はなこ参議院議員は「全国の無医地区や医師少数地域で展開する必要がある」と指摘する。

高齢社会、郵便局なら〝歩いて行ける〟

 ――「公益的なオンライン診療を推進する協議会」発足のご所見を。
 自見議員 地域に住まわれる住民の方々と社会の絆を守る、地域社会の安心・安全のために大変に喜ばしいこと。ただし、これからが正念場。長谷川英晴先生、いんどう周作先生らと一緒に郵便局スペースを活用するオンライン診療の事業が全国津々浦々まで行きわたるように整理をしていかなければいけない。

 ――どのようなことを整理しなければならないのですか。
 自見議員 例えば、費用分担の在り方や、厚労省のへき地医療拠点整備金を活用する中でどのように地域医療とリンクをする仕掛けをつくるべきか等々、進めるほどに課題も見えるでしょうし、良さも見えてくると思う。
 80代、90代のご高齢の方は免許を返納し、運転できない。誰かに車を走らせてもらって診療所に行かなければならないが、ガソリン代も高騰する中、お願いしづらい。
 山口県周南市和田地区の高瀬局でのオンライン診療初日に来られた90代の患者さんも「郵便局だから歩いて来れた」と喜ばれていたそうだ。
 郵便局まで行けば、先生に画面上で診てもらえる。人は絆やつながりで安心感を覚える。特に無医地区は医療の拠点だった診療所がなくなっているため、昔からその土地にある郵便局は精神的な幸福感にも寄与する。

 ――人がいてくれるのは意味がありますね。
 自見議員 人と場所。目に見えない土地に対する愛着はとても大切なもので、郵便局は土地があって知っている人がいる。人間のバイオサイコ・ソーシャル・ウェルビーイングと呼ばれているが、バイオは体の健康、サイコは心が健康、ソーシャルは社会的な健康の意だ。
 遠くの医療機関まで行くのはバイオ、体の健康には資するが、行く際に誰かに運転を頼まなければならない心理的な遠慮や、遠くに行かなければ先生に会えない不安はサイコ、心の健康を満たさない。郵便局が近くにあって医療の点にもできることは、バイオサイコ・ソーシャル・ウェルビーイングに合致する。
 急性期の疾患は直接病院での診察が必要だが、慢性疾患のように状態が安定している場合には、オンライン診療がとても適している。全国の無医地区や医師少数地域で郵便局のオンライン診療を展開する必要がある。