駅と一体型局第2弾、地方鉄道で初 信越支社×しなの鉄道

2023.03.12

 千葉県の江見駅局のような「駅と一体型郵便局」が長野県内に誕生する。信越支社(菊地元支社長)としなの鉄道㈱(土屋智則社長)が2月27日に締結した〝地域のにぎわい創出〟を目的とする協定に基づき、現在の大屋駅(上田市)を建て直した構内に大屋局が移転。大屋駅局(仮称)として2023(令和5)年度下期に開局し、一部駅業務も受託する。地方鉄道との一体型局は全国で初めて(写真は左から傳田彰長野県東信地区連絡会統括局長、菊地元信越支社長、しなの鉄道の土屋社長、岡田忠夫専務取締役)。

沿線地域に〝にぎわい〟を
大屋駅局(仮称)、駅一部業務も

 3月3日の協定締結式で菊地支社長は「しなの鉄道様と共に地域の皆さまに愛される大屋駅局(仮称)として、楽しく喜ばれる商品・サービスを共々に作り、多くの地域の方を巻き込んでにぎわいを生み出したい」と意欲を示した。
 しなの鉄道の土屋智則社長は「郵便局も鉄道事業も、人々の暮らしを盛り上げ、役に立つのが使命。日本郵便様との連携は非常に大きな力。鉄道が地域の皆様の生活を支える足であり続ける第一歩だ」と力強く語った。郵便局ネットワークと地域鉄道が連携し、トータル生活サポートする共創は全国に広がりそうだ。
 協定の柱は①駅と郵便局の一体運営②地域色を生かした商品・サービスの共同開発――の2点。1896(明治29)年に造られ、地域に親しまれてきた大屋駅は老朽化のため、建て直しか、保存の選択が迫られていたが、保存は莫大な資金を要す。建て直しが決まる中、過去数年間にしなの鉄道と郵便局双方で江見駅前局のような形が作れないか、地元自治会や市の教育委員会にヒアリングも行い、丁寧な協議が進められてきた。
 建て替え後の大屋駅内スペースに開局する大屋駅局(仮称)は120平方㍍ほどを想定し、社員3名ほどを配置予定。しなの鉄道を題材としたフレーム切手や関連グッズの販売、イベント開催等にも活用する。大屋駅の乗車数は1日1000人弱だが、朝に集中するため、局営業時間を柔軟にする案も調整中だ。

しなの鉄道本社前
 国土交通省の調べによると、2019(令和元)年度に全国総駅数9465駅のうち、無人駅は4564駅(もともと人のいない路面電車含む)。人口減少とコロナ禍による生活様式の変化で沿線利用客が減少し、各地の鉄道事業は厳しい打撃を受けてきた。
 長野県内に18駅を持つしなの鉄道も6駅が無人駅で、年内に7駅になる。国土交通省は「鉄道事業単体では難しいことを地元郵便局が連携し、良い形ができることは喜ばしい」と強調している。