総務省「郵便局データ検討会」が骨子
総務省の「郵便局データとプライバシー保護の在り方に関する検討会」(多賀谷一照座長)は5月26日、7月に策定する報告書の骨子をまとめた。骨子案は日本郵政グループの保有資産全てを対象とする管理体制構築等に向けて、グループとしての「データガバナンスワーキンググループ(仮称)」を立ち上げ、「郵便局データ活用推進ロードマップ」に基づくデータ活用の推進を明記。公的に資する転居先情報等の提供を可能にする制度改正も盛り込み、郵便局の保有データを社会課題解決に生かしていく。
グループ全データ管理体制の構築を
転居先データは、大規模災害や事故等の緊急時に住民基本台帳上の情報と居住者が異なる場合や、納税滞納者の転居先が不明な場合などに、地域の維持を目的に活用。自治体や地図会社等第三者の提供可能にするため、まずは「郵便事業分野における個人情報保護に関するガイドライン」を改訂。
骨子案の「郵便局データ活用推進ロードマップ」には、人手不足が深刻な物流改革に向けて、中長期的に日本郵便のデジタル地図と他のシステムを連携させ、データドリブン(データ分析結果に基づき、課題解決の施策等を立案)の物流プラットフォームを構築。社外の物流やサービスと柔軟に連携できるネットワークの確立を打ち出した。また、日本郵便に「情報管理体制強化とペーパーレス化PT」組成を促している。
検討会で、宮元陸構成員(加賀市長)は「地方公共団体、自治体に携わる者として、骨子案に大きな期待を持っている。自治体、総務省、郵便局との間の委託を通じたさまざまな情報共有化は、国益にかなうアクションが取れる」と強調。
日本郵便の小池信也常務執行役員は「信頼回復が最優先事項。公的要請のあるデータ活用から取り組み、当社だからこそ持ち得るデータをビジネスに生かすべく社内で検討したい」と述べた。日本郵政の大角聡DX推進室長は「ガバナンスを確保した上で、社会的利益に資するよう、個人情報保護や社会的重要性等に十分配慮しながらの活用を目指していく」と語った。