金子総務大臣、局長と車座対話

2022.01.13

 金子恭之総務大臣は昨年12月5日、「郵便局における自治体事務の受託」をテーマに、郵便局と北海道白老町との車座対話を開催した。すでに2003(平成15)年から町内の社台局で公的証明書発行業務の一部受託が始まったが、昨年8月の「郵便局への包括委託に関する契約」締結を機に、10月から社台、萩野、竹浦、虎杖浜の4局が北海道では初の包括受託業務を開始している。
 車座は町内5局の局長と、町役場の高尾利弘総務課長、森誠一総務課主幹が金子大臣、渡辺孝一総務政務官と対話する形式で行われ、戸田安彦白老町長、堀井学衆議院議員もオブザーバーとして出席。司会は総務省の今川拓郎郵政行政部長が務めた。

テーマ「郵便局の自治体事務受託」

 金子大臣 郵便局長と対話実現をうれしく思う。地域に欠かせない生活インフラとして、ユニバーサルサービスを担う郵便局に感謝を申し上げたい。
 戸田町長 人口減少、高齢化が進む中、住民サービスを維持し、行政の効率化を図ることが喫緊の課題。昨年8月、日本郵便からの包括委託契約の提案は、新たな民間活力の活用を模索する白老町にとって「渡りに舟」だった。
 金子大臣 利用者からの反応は。
 高石朋範局長(萩野) 窓口が出張所(16時まで)より長く(局は17時まで)開いているので助かると好評。社員はお客さまとの接点が増え、役に立てるのはうれしいと言っている。顧客情報等は神経を使って取り扱っている。
 塚田究局長(竹浦) 10月は4局計12件、11月は同36件と、2カ月たって徐々に増え、地域の方々に喜ばれている。

 金子大臣 地域との連携や貢献は。
 荒木靖幸局長(虎杖浜) 一昨年7月にウポポイ(民族共生象徴空間)がオープンしたが、オープン前の2年間、局の車両にウポポイの宣伝ステッカーを貼付、郵便ポスト9個をウポポイイメージの青色に装飾し、PRした。
 蛯子強局長(白老) 町との「地域見守り活動に関する協定」に基づき、体調の悪い方を見つけたら地域包括センターへの連絡、園児や小学生の局見学、敬老の日に祖父母へのはがき投函施策、中高生のインターンシップ、高校は「手紙書き方」と「金融」の出前授業も好評。防災士として地域防災にも貢献している。

〝ワンストップ〟は理にかなう

 金子大臣 事務委託の効果や期待は。
 高尾課長 コロナ禍で人の分散化が図れる。郵便と銀行等業務を持つ局で、さまざまな「手続きがワンストップ」でできる。
 森主幹 役場は人手不足や経費が課題。出張所業務をほぼ郵便局でできるように委託業務を増やしたい。有料ゴミ袋の販売、地域公共交通の定期券の販売等々も4月から局にお願いしたい。出張所はいずれ廃止する。
 金子大臣 理にかなう。地域住民からすれば、まさにワンストップでいろいろなことができるのは感謝される。守秘義務に配慮すれば喜ばしいことだ。
 塚田局長 デジタル化になじめない方から、局の対面案内やサービスを期待する声も多い。
 堂ノ下慎一局長(社台) 郵便局はエッセンシャルワーカーとして窓口、集配サービスを提供し続けなければならない。コロナ禍でも感染対策に留意し、電話等で代替手段を講じた。
 渡辺政務官 市町村会などで郵便局の包括事務委託を、声を張り上げていただけるとありがたい。全道、全国に広めてもらいたい。
 戸田町長 胆振町村会、北海道町村会等々にPRし、局長との連携を深め、新しい事業に取り組んでいきたい。
 高尾課長 行財政推進計画は「行政サービスの充実」を基本方針の筆頭に掲げている。厳しい財政運営を強いられるが、公共施設の老朽化が著しい。生活の基盤となるインフラ整備と適正配置を進めようと考えている。
 森主幹 町は2020(令和2)年度から新しい総合計画をスタート。人口減少抑制プロジェクトとして定住人口増加、地域経済を活性化させようとウポポイ等を生かした観光振興や交流人口拡大、安定雇用の確保、地域産業の競争力強化を重点施策としている。

 金子大臣 今後、行政事務で郵便局に委託したいものなどは。
 森主幹 出張所は各公民館に併設されているが、一人ずつしか職員を配置していない。公民館貸し館業務、料金の収受、予約受付などをお願いしたい。オンラインでの予約システムや電子等で局の負担にならない形で進めたい。
 金子大臣 過疎や人口減少が進む地域で、局の包括事務受託は住民サービス維持の切り札になる。
 蛯子局長 北海道は全市町村と包括連携協定を結んでいる。包括事務受託は来局者数も増えるため、郵便局の強化にもつながる。
 金子大臣 ユニバーサルサービス義務を担う使命感を持って頑張ってほしい。総務省への要望は。
 高石局長 DX化の中、通信回線等のインフラが過疎地は取り残されないよう配慮願いたい。マイナンバーカード新規発行受付を局の実証実験を提案したい。
 森主幹 ふるさと納税の郵送料が、他の都市圏に近い町よりも不利。超過分は経費の上限から除外いただくなど、一定額で取り扱いいただけるとありがたい。
 金子大臣 岸田総理は「デジタル田園都市国家構想」を重要政策に掲げている。都会の活力と地域の豊かさを一つにしたまちづくりのためにも情報通信基盤をしっかりしなければならない。マイナンバーカードは5000万人分が達成。来年度中に全国民に行きわたるようにしたい。普及には環境づくりが必須だ。
 地域ごとにさまざまな課題がある。町や村と郵便局がどうつながれるか。災害も激震化する中、防災士の資格を取って地域のために働こうという局長方に敬意を表したい。郵便局の地域コミュニティーとしての活躍を願っている。