郵便局でEV急速充電実証を開始

2021.12.20

 日本郵政グループと東京電力グループの「カーボンニュートラル化社会を実現する戦略提携」に三菱自動車工業も全面的に協力し、EV車両充電ステーション第1弾が11月10日に栃木県の小山局(橋本公彦局長)、18日に静岡県の沼津局(菅沼達也局長)で始まった。
 全国で公共充電サービスを手掛ける「e-Mobility Power社も出席し、敷地内に一般のEVユーザーが使える急速充電器を設置。災害時に〝動く蓄電池〟にもなるEVの充電設備設置は、局舎の〝防災拠点〟役も期待される。局屋根に設置された太陽光発電で局内電力の4~5割を賄う。

日本郵政G×東京電力G+三菱自動車

 小山局での実験開始セレモニーで、関東支社の武部繁樹支社長は「実験目的の一つは、郵便局自体のカーボンニュートラル化。車両のEV化と使用電力の低炭素化だが、もう一つは、災害時の機動的な運用で、小山市の浅野正富市長や市の方々と検討中。日本郵便車は365日走るが、三菱自動車工業さまの協力の下、運用データを収集・分析し、郵便局EV車両開発や一般商用EV化に活用いただけるようにしたい。地域の皆さまの活用に全力で努力する」と強調した。

 東京電力ホールディングスの河野秀昭EV推進室長は「カーボンニュートラル化は①省エネ②電化③再エネの組み合わせ。局舎のエネルギーマネジメント、充電環境整備、全量カーボンフリーの電気料金メニュー提供で包括的なソリューションを展開する。日本郵便の全国津々浦々の物流配送は欠かせないユニバーサルサービス。カーボンニュートラル社会に適応する物流オペレーションが機能するよう全力でサポートする」と述べた。

期待される〝防災拠点〟機能

 三菱自動車工業の石川善太国内営業本部長は「小山局と沼津局にミニキャブ・ミーブを20台提供した。バッテリー残量や走行距離は位置情報からデータを分析し、多くのお客さまに使い勝手が良い製品開発にしたい。自然災害で停電時の緊急電源のEVやプラグインハイブリッド等、車の存在意義が注目されている。10月にプラグインハイブリッド車を発売し、来年度に乗用車EVも発売予定。地球環境に貢献したい」と語った。
 浅野市長は「郵便局と2016(平成28)年に包括連携協定を締結。安全安心のまちづくり、高齢者や障がい者の支援、子ども・青少年の健全育成、産業観光の振興等の協力を進めてきた。今回の実験で、災害時にEV車を避難所に派遣いただけることに感謝を申し上げたい。持続可能なまちづくりへ、実験の成果に期待している」と喜びを見せた。